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チャーム(charm)
【ファンタジー 官能小説】

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チャーム-13

「君、襲ってるの?」これがクロの最初の言葉でした。
力が抜けました。「遅いよ。いったい何してたの」
よく考えると、二人とも。はだかです。そして、しばりつけた男のパンツの中に手を入れているのです。
「違う。鍵を探しているの。これ」足元の鎖を持ち上げてみせます。
クロはジャケットを拾うとあたしの肩にかけてくれます。
口枷は皮のストラップをちょん切ってはずしてくれました。
でも彼はそうしながら、あたしの裸をそっと見ていました。
≪だって男なんだから≫ クロになら見られてもいいような気がしました。
≪どうしてだろう、 浮気がしたいの?≫
そういえば、ボーイはナオに言われたといっていました。「これをナオが計画したなんて考えられないよな」つぶやいてしまいます。
「君がここに来るなんて誰にわかる」
「そんなの、偶然部屋にいたら、あたしが着替えを取りに来たっていうだけのことじゃないの」
クロはキッチンの焼きゴテを見て、馬鹿みたいに驚いています。
「偶然? そしてたまたま。こんなものがあったって」
「じゃあ、あんたが教えたんじゃないの」腹が立って叫びます。でも気は晴れませんでした。
鍵はテーブルのかばんの中から探し当てました。クロはこの部屋の鍵と。ナオの電話番号を、陰険にも見せびらかします。
それでも、足元にかがんで、やさしく鍵を開けてくれました。
「とりあえず。ありがとう」
「ところで、なぜ部屋には障壁を張られているんだ。こいつがかけたのか」ボーイを見下ろします。
「どうしてそれを知ってるの」
「君が魔を僕の所に来させたと言うことは、僕のことを知ってるんだろ」
「え?」唖然とします。 そんなこと考えずにクロを呼んできてもらったとは言えませんでした。
「まさか、知らなかったのか」簡単にバレてしまいます。
「あン、わけもわからずに拘束されて、魔が来て、それで、たすけてくれる一番がクロだったから‥」 ≪そっか、クロはウイッチだったんだ≫ 
「君らしいね」笑います。
クロはあたしの服を拾ってきてくれます。
「ナオはウイッチじゃあない。そうだったら僕にもわかっただろう。
だけど、こいつはウイッチだ。それを隠せる技を持ってるんだろうけど、ぼくにはむりだ」
「どうして」
「教団で見たことがある。 ナオはこいつの小間使いってところか」
「惑わされたの」
「マイ、いつもそばにいないと、そんなに長時間惑わし続けることはできないよ」
「なにそれ」
「だから小間使いなんだよ。君は見ている気分になって物事を理解しようとしている。それでは見落としができるよ」
『しっかり見るんじゃありません、はっきり見るんですよ』 お母さんには何度も言われています。
≪はっきり見ると、どう見えるんだろう‥≫ クロの言うようにしか思えません。でも今は、ナオの事は考えたくありませんでした。 「あの魔、あの変なやつは何。見たでしょ」
「あれは由緒正しい子どもの魔だね」クロが説明してくれました。「あいつは、今までに何度か見たことがある」
「へぇ珍しいね」
「そうはお目にはかかれない。やつは大人に見られたくて背伸びしていた。自由に飛べる羽を付けろとそそのかされて、妙な羽を付けてしまった」
≪やっぱりクロはウイッチなんだ≫ はっきり見ます。≪この人もあまり危険視してない所を見ると、あいつは使えるかもしれない≫
「魔、まぁ。おいで」 呼びます。
「何してるんだ」
「魔を呼んでるの」
「召喚の儀式も、魔法円もなしにかい」
≪やっぱり無理かな≫ しばらくしてパタパタと魔が飛んできました。
体は細長く。全体から見ると小さすぎて、バランスがとれていません。
というか、優美な白鳥の羽が大きすぎて、バタつき、もたついています。
頭は竜と言うよりは。トゲの生えた、ニシキヘビです。


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