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光を求めて
【その他 官能小説】

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光を求めて-1

塾の正面ホールで那知は空を見上げ溜め息をついた。暗い雲が漂っている。
「やだなぁ、降ってきそう。傘持ってないのに」
呟くと彼女は騒がしい街の中へ歩き出す。

止まることなく歩き続ける人々、輝くネオン、携帯電話の話し声…。
 ――イヤだ
那知は歩を速める。

西に沈みかけた太陽。空をオレンジに染めている。だが誰ひとりとしてその素晴らしさに気付いていない。
――嫌だ…嫌だ…!
こんな忙しい世界になんて居たくない
こんな汚れた世界になんて居たくない

さらに足を速める。もっと早く、もっと…
早くここから抜け出したい!!

那知は走り出す。息の続く限り、空の許す限り…。

先に限界を告げたのは空だった。塞きを切ったように零れ落ちる雫。
那知は肩で息をしながら空の下で立ち止まる。

(空が泣いている…)
雨は那知に構うことなく降り注ぐ。那知の肩を、髪を、頬を濡らす。
「…あたしだって泣きたいよぉ…」
那知は俯く。
泣いちゃいけない…しっかりしなくちゃ…。
今まで泣きそうになる度にそう思って堪えてきた。だから今日だって…

「お嬢さん、どうかしましたか?」
声がかけられ、那知はふと顔をあげる。
スーツを着た男性が傘を掲げて那知を見下ろしていた。二十歳過ぎくらいだろうか、すらっとしたシルエットをしている。

「あ、いえ、ちょっと考え事をしてたもので」
那知は笑って答えた。
「すいませんでした」
足を帰る方向へ向ける。
「一人で大丈夫?」
「一応高校生だし、まだそんな暗くないから平気ですよー」
おどけて言った那知に返ってきたのは思いもかけない言葉だった。

「いや、そうじゃなくて。今にも泣き出しそうな顔してるから…」

どうして分かったんだろう?家族も友達も先生も、誰も気付かなかったのに。
ぽろ…っ
涙が一粒零れた。
(泣いちゃ駄目だ!)
慌てて那知は涙を拭う。
『強くいよう』
そう決めた時から涙は枯れ果てたはずだったのに。笑顔しか見せないはずだったのに……

「泣いていいよ?」
優しい言葉、頭を撫でる手の温もり。心の掛け金を外す。那知の頬に次々と涙が伝った。


「落ち着いたかい?」
男性が両手にマグカップを持って那知の隣に座った。

ここは彼のマンションだ。家の近かった彼は、雨と涙でぐちゃぐちゃだった那知を部屋に引き入れてくれたのである。
那知は男性からマグカップを受け取る。中身はホットコーヒーのようだ。ゆっくり口に含む。
「にが…」
顔をしかめる那知に男性は微笑む。
「お子様にはきつかったかな?」
むっとする那知。
「子供じゃありません」
男性は肩をすくめ、立ち上がる。
「はいはい、分かりましたよ。ほら、制服乾いたぞ。早く着て帰りなさい」
途端に那知は視線を逸らす。男性は軽く溜め息をついた。
「まだ泣き足りないか?」
那知は毛布に口まで埋めたまま動かない。男性は苦笑する。
「親御さん心配するぞ?」
それでも反応はない。
お手上げだと男性が背を向けた時だった。

「抱いてくれませんか」
那知が口を開いた。
「…は…?」
驚いて男性は振り返る。
「抱いてください」
那知は真っ直ぐ彼の瞳を見つめて言う。
「あのな…」
男性は呆れた顔をし、言葉を返そうとした。が、彼が言葉を続けるより早く那知が動いた。
「ん…っ」
彼の唇に口づける。
「…お願い…温もりが欲しい…」
男性は溜め息をつく。
「名前は?」
「…那知。あなたは?」
「栄太」
そう言うと栄太は那知を床に抱き倒す。
「今日だけ特別なんだぞ?俺は軽い男じゃないんだからな…」
落ちてくるキス。舌が絡み付く熱いキス。
「ん…ふ…っっ」
唇が離れる。もどかしい思いが那知を襲う。

 もっと触れて…
 離さないで…

栄太の掌が那知の胸を包み、寄せ上げるようにして揉みしだく。
「ぁ…ん…」
「那知、胸大きいのな」
栄太が那知の耳元で囁く。そして彼女に貸した自分のYシャツのボタンを外していく。徐々に現れる白いブラジャー。栄太は那知の胸元に唇を寄せる。桜色のキスマークが残った。
 ―パチン―
ブラジャーのホックが外される。それを取り去ると二つの白桃がこぼれ出た。
栄太は息を止める。
「すげ…、まだピンク色なんだな…」
そっと乳首を口に含む。
「はぁ…ん…」
栄太が乳首を舐め、甘噛みする度に那知は甘い吐息を漏らす。


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