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「向こう側」
【ファンタジー その他小説】

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「向こう側」第二話-3

「スグルよ、おぬしにいくらか質問していいかの?」

「ええ、大丈夫です」

「ではまずこの部屋にいるみんなが気になっていることを聞こうかの。どうして君はこの世界に来たのかね?」

いきなり答えがわからない質問がきて、スグルは困惑したが正直に答えた。

「わかりません」

「わからない?と言うことは君は自分の意志とは関係なくここへやって来たというわけかね?」

「ええ…まぁそうですね」

「ふむ、それでは質問を変えるとするかの。君はこれから何をしたいかね?」

「帰りたいです。もとの世界に」

自分がこの世界にいると何かよくないことが起こる。そう思ったスグルはそう答えた。

「そうかそうか、それでは最後の質問じゃ。どうやってここへやって来たのかね?」

スグルはどう答えればいいのかわからなかった。自分でもどうしてこの世界に行けたのか見当もつかなかったが何か言わなければいけないと思い、今日の行動を思い返した。

(ええと…たしか朝目が覚めてタロウの散歩に行って……そしてそこで…)

「『平和の塔』で何か拾った…」

ぶつぶつとつぶやいた言葉に部屋にいる全員が反応した。

「『平和の塔』だって!?」

バッジが大声をあげる。
ほかの人たちもひどく驚いた様子である。
ざわめく人達を手で制しヴェラマージは口を開いた。

「君はそっちの世界で『平和の塔』で何かを拾った…そしてこの世界へ来たということかね?」

「よくわからないですけど原因があるとするならそれしか思いつきません」

周りの人たちの様子を見ているとどうやら『平和の塔』について何か知っているようだ。
この世界にも『平和の塔』と呼ばれているものがあるのかなとスグルは思った。

「スグルよ、君はさきほどもとの世界に帰りたいと言ったが、すまないがそのような方法はわしらにもわからないのじゃ。しかし…全く見当もつかないというわけでもない。おぬしが『平和の塔』で拾ったものを見せてくれんかの?」

そう言われてスグルは自分の右ポケットに入れておいた石を取り出した。
その石を見ると手に入れたときにはそんなことはなかったのだが、淡く光っていた。この世界の地面のように。


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