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みなみの恋
【学園物 恋愛小説】

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みなみの恋T-1

『えーここの問題はよく出題されるので確認しとけよー。次、教科書54ページ。』セミの鳴き声の響く中、事務的な口調で先生は授業を進めていく。

そんなことはおかまいなしに、私、藤澤みなみ15歳は、右斜め前の席に座る高月律貴に見とれていた。やっぱり好きな人の席のベストポジションは斜め前に限るなぁ…隣とかだと授業中の真剣な表情とか見えないもんね。斜め後ろの席で良かった…っと物思いにふけっていたので、先生の視線がこちらに向いていることに気付かなかった。

『おい!藤澤!次、問9の答えは?』『へっ?』どうしよう…聞いてなかったよ〜。あたふたしてる私を見て、先生は溜め息をついた。『おいおい〜ちゃんと話聞いとけよ〜今理解してないと後で後悔するぞ。』『…はい。すみません。』『もういい。えーじゃあ高月!答えは?』『y=2x+5』『正解。じゃあ次いくぞー』

はぁ…よりによって高月くんに…カッコ悪いとこ見られちゃったな…

授業が終わると、親友の橋本美月が話し掛けてきた。『ちょっと〜何してるのよ〜みなみ〜』『言わないでよ〜だって見とれちゃってたんだもん。』『見とれるって…いつでも見れるじゃない、同じクラスなんだから。』『だって!授業中は超レアな眼鏡姿が見れるんだもん…』そう、高月くんは授業中だけ眼鏡をかける。普段はかけてないから、そのギャップがたまんないんだよねー。

高月律貴くんを好きになって3ヶ月。業務連絡以外では話したことないんだけど、見た目はクールな感じなのに、話し方とか対応の仕方とかすっごく優しくて、頭もよくて、完璧なヒト。もちろんすごくモテる。何回も告白されたらしいけど、まだ付き合ったとかいう噂は聞いてない。まぁあくまでも噂だし…もしかしたらもう……って悪い方向に考えるのは止めよう!

『とりあえずメアド聞きなよ〜まずはメールからでしょ♪』って美月は言うけど、そんな簡単に聞けたら苦労しないよ…ていうかそんなメアドとか聞いたら、好きなのバレバレじゃん…いや!別に好きなんだから問題はないんだけど!!でもやっぱり臆病になる…だってもし『メアド教えて?』って言って迷惑そうな顔されたりしたら、立ち直れないもん……第一、話すチャンスもないし…こんなんじゃダメってわかってるけど、そんなに恋は甘くない。

ある日、担任の先生に用があっていつもより早く学校に来た。誰もいない廊下は新鮮な感じで、少し気持ちよかった。

気分よくて、鼻歌なんか歌いながら教室のドアを開けると……え!?高月くん?ってか今!!鼻歌!!聞かれちゃったかな…ドキドキ。あ、挨拶しなきゃ…!!挙動不審な私を見て、高月くんは、くすって笑って『おはよう。早いな。』って挨拶してくれた。『ぅっうん!おはよ!!ちょっと担任に用事があってね!!…高月くんこそ早いね。なんか用事?』…ふぅ。普通にできた…よね??『いや、俺朝いつもこんな感じなんだよ。朝の静かな学校が好きっていうか…っておかしいよな』
神様ありがとう…!!はにかみながら話す高月くんは、本当にかわいくて、かっこよくて…ってか今…チャンス…?!アドレス聞いてみようかな…こんなチャンスめったにないし!
『あの…高月くん。』『ん?何?』『メアド…教えてくれない?』
よし!言えた!!
『あーごめん…今日携帯忘れてきてアドレスわかんないんだ…』『そっか…残念…』となんとか返せたけど、私はすごくショックを受けていた。だって、普通自分のアドレスくらい覚えてるでしょう?遠回しに断られたのかな……なんでも悪い方向に考えてしまう、私の悪い癖だ。

その日は一日中元気が出なくて、美月に『どうしたの?』って言われても何も答えられなかった。


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