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その男、ライデン
【サスペンス 官能小説】

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その男、ライデン-2

知子はタオルを取り全裸のまま部屋を出て行った。きっとシャワーだろう。芝久は窓をコンコンとノックした。男は芝久に気づいた。そして窓を開けた。
「覗きはよくないぞ」
知子を逝かせてご機嫌なその男はひそひそ声で言った。芝久はその男の顎ひげを引っ張ると
「妻を逝かせてくれてありがとう」
と低い声で迫った。
「え?あんた旦那?」
血相を変えたその男は慌てて部屋から出ると玄関から出てきた。
「会ったのは今日初めてです。もう会いません。すいません」
と深々と頭を下げて謝った。そして財布から5万円を抜き取り芝久の手に無理やり持たせた。
「これで見逃してくれ」
「もうしないと約束するか?」
「約束する」
「じゃ帰れ」
男は走って逃げて行った。芝久はその5万円をポケットに入れると安川亭の中に入った。そしてさっき淫行に及んだベッドに座り、知子を待った。なかなか知子は来なかった。しびれをきかし、芝久は部屋を出てシャワールームのドアを細く開けて覗いた。さっき逝ったばかりの知子が今度はシャワーを浴びながら自慰行為に及んでいた。左手は左胸の乳首を。右手は陰部を触り、人差し指は膣内に挿入していた。そんなに溜まっているのか。芝久のつぶやきが知子に聞こえてしまった。
「やだ、覗いてるの?」
知子は笑った。さっきの男と思っているらしい。芝久は自分の陰部を触った。何故か立っている。まずい。仕事中でなければ喜ばしいことだが。何という運命のいたずらだ。知子が自分の指で果てるのを見届けると芝久はドアを開けた。

「誰よ、あなた?」
知子はシャワーを止め、両手で体を隠しながら叫んだ。
「警察呼ぶわよ!」
芝久は知子のボディから視線をずらした。自分のアレがしぼんでくれないと歩きにくいのだ。
「呼んでもいいよ。でも奥さん、さっきの男のこと旦那は知ってるの?」
知子は白目を剥いた。
「さあ、警察呼んでください」
「あなた、私を強請る気?」
「いや、そんな気はない。旦那さんにありのままを報告する」
「いくら欲しいの?」
「お金はいらない」
知子は急に泣きそうな顔になった。隠していた手も力が抜け知子の全裸が露わになった。芝久はまた視線をそらした。
「お願いだから、言わないで。お願い」
そう言うと知子は芝久の前で全裸を見せつけた。綺麗で大きなボインが2つ、プルンプルンしている。
「私を欲しくない?」
芝久は視線をそらしても気になって知子の肉体に目がいってしまう。
「欲しいけど・・・仕事中だ」
「好きにしていいのよ」
「断る」
「でもそんなに・・・」
知子は芝久のアレのあたりを見つめた。どうやら立っているのがばれてしまったようだ。
「取引はしない」
すると知子はシャワールームの床に土下座した。
「お願い、言わないで。あの人を愛してるの。ただ・・・」
「ただ?」
「ただ・・・あの人してくれないのよ。もう1年以上レスなのよ」

芝久は少し同情した。知子が気の毒に思えた。あの体に触れない旦那は罪だとも思えた。そして自分の名刺を知子に渡した。
「性欲が抑えきれなくなったら、俺に電話しろ。その代わりもう浮気するのはやめると約束しろ」
「いいわ」
知子は大きく頷いた。そして名刺の名前を読んだ。
「シバヒサ ライデン?」
「シバク ライデンだ。ライデンでいいよ」
「探偵さんなの?」
「そうだ」
芝久は知子にそばにあったバスタオルをかけてあげた。
「旦那にはあの男のこと黙っててやる」
「本当?」
「ああ。他に男はいるのか?」
「いいえ。毎回違う人だから、特定の人はいないの」
「もしかして、クラブの会員なのか?」
「ええ」
「念のため、そのクラブの名刺を見せろ」
知子はバスタオルを体に巻くとさっきの部屋に行きバッグから名刺を出した。
「ドリーム・ワールド」
聞き覚えがあった。
「この名刺は預かっておく。もう電話するなよ」
「わかったわ」
知子は芝久に抱きつきキスをした。芝久は丁重に知子の体をどけた。そして部屋を出た。


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