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『真由〜不確かな現実と、確かな欲情の中で〜』
【その他 官能小説】

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『真由〜不確かな現実と、確かな欲情の中で〜』-5

濡れた顔を真由の乳房に擦りつけ、そのままキスへと身を上げる。力無く左右に広がった真由の両手が、ゆっくり秀典の頬に当てられる。唇を離し、互いの顔と顔の間に僅かの距離を作る。見下ろす。見上げる。目を合わせる。秀典が口元をすぼめる。反応した真由が口元を開く。唾液を、落とす。唾液を、受ける。もう一度。唾液を、落とす。唾液を、受ける。喉を鳴らして、飲み込む。
「お願い…きて…」
 閉じた目蓋を軽く舐め、秀典はゆっくり腰を沈める。先端が秘弁を掻き分ける。耳をくすぐる淫らな音を立て、ペニスが真由の中へと入ってゆく。一際大きな喘ぎ声が、秀典の後頭部に反響した…。

 息を刻んで、腰を動かす。深く、強く、憎悪にさえ思える突き上げを、繰り返す。
「わたし…わたし…」
 真由がうわ言の様に、何かを発しようとしている。一瞬、動きを止め、その濡れた睫毛を覗き込む。息を引きながら、短い呼吸を繰り返し、真由は秀典の腰を押える。我に返るように、再び奥へとペニスを導く。長い喘ぎが生まれる。
「わたし…わたし…いやらしい…女…な、の?」
 快感に恍惚を浮かべる真由の顔が、その問いと共に、少女の様な戸惑いを見せる。
「ねぇ…?」
 喘ぎながら、必死に秀典の肩を抱き寄せてくる。答えを探しながら、子宮へ先端を当てる。開かれた脚が、宙で揺れている…。

 誰もが自分を正当化しようと試みては、その理由を探し回る。誰もが自分を可愛がる余りに、誰かを傷つけて安心しようとする。厄介なのは、誰かを傷つけていることに気付いていないことだ。小さな涙を頬に落とし、真由は乳房を揺らして喘ぎ続ける。さっき自ら吐いた問いを忘れようとばかりに、秀典の動きに合わせて自身の腰を揺する。勃起したペニスをジャージ越しに見せつける…滑稽な企みに、真由は反応した。秀典が思いもしなかった、反応。促せば、簡単に四つに這う真由が、目の前に、いる。
「俺こそ…俺…こそ…」
 滑稽な自身の企みが、秀典の胸を締め付ける。
「もう、言うな…」
 真由の反った細い背中を見ながら、秀典は言い切った…。

 膝を折り、手を着き、四つん這いの真由。乳房が柔らかく引力に揺れている。背後から、突き刺したまま、その柔らかい乳房をわし掴む。乳首が逃げ場を求めて、指間からこぼれる。吐く息。吸う息。喘ぎと呻きが、不思議なほどに、ひとつに重なってゆく。秀典の顔から汗が滴り落ち、真由の秘部から愛液が滴り落ちる。カーテンの隙間から射し込む日射しが、淫らな午後の時間をくれる。溶けていきそうな感覚。肉体が消えていきそうな感覚。擦れ合う肉と肉が、神経を削り、快感という幻覚を産む。一旦、引き抜いたペニスの先端から、真由の愛液がダラリと落ちる。仰向けに身を投げ出した真由が、大きく息を吐く…。

 セックスには、罪悪感がつきまとう。例え、どんなに愛し合い許された関係にある相手であっても、セックスの後には、大なり小なり罪悪感が、芽生える。それこそが、理性なのだから…。言葉を吐息に代えて、意志を喘ぎに代えて、秀典と真由は共通の最後を目指す。背を丸め気味に、真由の最も柔らかいところへ、秀典の最も硬いものを、何度も何度も突き上げる。互いの名を呼ぶこともなく、喘ぎと呻きを交換する。
「イ…イ…イィ…イクゥ…」
 真由の唇から洩れた一言に、秀典が激しく反応する。振幅を短くし、一際、強く突き上げる。水っぽい愛液がシーツを濡らしていく…。

 首を左右に振りながら、眉間の皺が深くなる。苦悶にも似た恍惚に表情。真由の絶頂が、近い。流れこむ精子が、ペニスの中で、その時を待ちわびているのを感じながら、秀典は目を閉じ、最後の“動き”に入る。小刻みに、強く。汗。声。息。秒単位の判断でペニスを引き抜く。白濁色の塊が筋となって、真由の体に飛散する。腹部。乳房。そして、首筋。紅潮した真由の肌に、放出された精液がユラユラ揺れていた。やがて、それは真由の体から滑り落ちるか、乾いて消えてしまうかの運命を辿る。性欲が、一時的に胸の奥底から姿を消してしまうみたいに…。

 汗に濡れた唇を、そっと重ねる。いたわる様な優しい真由の唇が返ってくる。小さく歯がぶつかり、それをきっかけに軽く笑みを残して、身を離す。ティッシュを取ろうとする秀典の動きを、真由が制する。
「いいから…」
 真由の小さな呟きを受け、改めて秀典はベッドに身を沈める。
「匂い…精子の…」
 天井を真直ぐ見つめ、真由が言う。秀典は少し大きく息を吸ってみる。真由が肩を揺らして笑う。首をかしげて戸惑う秀典に唇を寄せ、指先で飛散した精液をなぞってみせる。
「そういう意味でなくて、さ…」
 真由が精液に濡れた指先を秀典の鼻先に差し出して、穏やかな笑みを浮かべた…。

(End)


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