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『真由〜不確かな現実と、確かな欲情の中で〜』
【その他 官能小説】

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『真由〜不確かな現実と、確かな欲情の中で〜』-4

息が切れる。降って湧いた様な唐突なセックス。何の約束も、何の確認も、何の疎通もないまま、体液を交換している今への興奮。秀典は真由の首筋に絡みつく。真由が秀典の汗ばんだ髪をわし掴みする。ピンクのセーターをたくし上げ、勢い、ブラジャーをも乳房から剥ぎ取る。硬くなった乳首が、雛鳥のように秀典の舌を欲しがる。前歯の上下2本で、軽く乳首を噛む。真由の喘ぎが大きくなる。幼児じみた吸引で、執拗に乳首を責める。揉みしだく指先に汗が滲む。真由の足下が微妙に揺れている。秀典の肩についた手で、揺れを支えている。真由の手が秀典の顔を包み込む。乳房から引き離すようにキスをせがんでくる…。

 秀典のそれより激しく、真由は唇を吸い、唾液を流し込んでくる。逃れるように吐き出す息が、真由の頬を濡らす。ジャージに染みが浮かび上がりそうな秀典のペニスを、真由は手の平で弄ぶ(もてあそぶ)。ずり下ろされた下半身に、剥き出しのペニスが真由の下腹部に突き刺さる。ビクビク震えるペニスが、だらしなく先端から液を零す。真由の両手に包み込まれ、強くも優しい動きに、血管が膨張していく。真由は身を屈め、右手の人指し指で、自身の髪を耳に掛け直す。淫美な爬虫類。極限まで伸ばされた真由の舌が、零れた秀典の液を丁寧に掬いとる。足の親指が小刻みに震える。見下ろす真由の頭部。秀典の全身に鳥肌が波の様に走る。

 日常的なセックスよりも、非日常的なセックスに、人は理性を奪われる。営み、そんな言葉に納まるセックスに、全身を貫く快感はあり得ない。無心に頭を前後に振る真由。その細い髪を撫でながら秀典は咆哮する。先を急ぐ精子が、もうそこまで来ている。腰が大きく震えだす。濡らしたペニスを喰わえたまま、真由が秀典を見上げる。ペニスの根元に手を添え、強くしごいてくる。先端に舌を絡め、しごいてくる。目線を、外さない。呻きが喉を駆け下りる。開かれた扉に殺到する群れの様に、真由の咽奥へ射精する。繰り返す。2度、3度。絞り出されるように、精液が真由の口中に放出されてゆく…。

 数枚ティッシュを重ねて、真由は秀典の精液をその上に流し落とす。最後のひと雫が、唾液と入り交じり長い糸を引く。立ちすくむ秀典を見て、真由が小さく笑う。
「多い…ね」
 唇を舌先で舐めながら、真由は乱れた着衣を自ら全て取り払い、ベッドに滑り込む。顔の半分を布団で被い、真由が肩を揺らして笑い始める。怪訝な顔の秀典を見て、さらに笑い声が大きくなる。
「勃ったまま…だね」
 布団に覆われた真由のくぐもった声が秀典の耳に届く。顎を引き、見下ろす足下に、濡れ光ったペニスが、見てとれる。
「元気すぎ…」
 真由の言葉に秀典も小さく笑う…。足首に留まったジャージを蹴りほどき、シャツを脱ぎ捨てる。ベッドへ歩み寄る。ペニスが歩に合わせて、揺れた…。

 乳房がその高さを失った寝そべる真由の胸元に、唇を這わしながら秀典は問う…
「どうして、俺に?」
 手の平の中に、弾力が心地いい。
「匂いがしたから…」
 真由は身を返し、秀典を見下ろす。乳房を差し出し、愛撫を促す。答えるままに、乳首を吸い、噛み、舐める。
「いやらしい…匂い…させてたから」
 喘ぎにもつれながら、懸命に真由は言葉を吐く。吐息と母音が混じり合い、動物的な喘ぎ声を形成する。秀典を丁度またがる格好。真由の秘部が、秀典の腹部辺りに愛液を擦りつけてくる。淫らすぎる泉。止まることなく粘質な液を溢れさせ、秀典の腹部を濡らしていく。音を立てて…。

 信じていることが嘘に思え、信じられないことの方が真実味に溢れていることは、よくある。あやふやな感情や、形のない優しさより、五感を揺さぶる性欲の方が愛しいことも、よくある。真由の乳房に顔を埋め、秀典は女の匂いに陶酔する。ヌチャリと粘質でいて水気に帯びた音がする。真由の手が添えられたペニスが、秘部に導かれようとしている。秀典はベッドに手をつき、強引に起き上がる。座って向き合う真由が、そのまま挿入を図ろうと腰を浮かす。その動きを制し、真由を押し倒す。細い髪が顔の輪郭から広がり、甘い香りを放つ。絡みつく真由の腕を払い、秀典は茂みに顔を着ける。濡れた性器の匂いが、鼻を突いた…。

 秘部は熱に蒸れた臭気に満ち、秀典の舌先をより滑らかに動かせる。硬くした舌先で、小さな肉豆を撫で、口を開いた秘弁を舐める。頭上に響く、真由の喘ぎ。目の前で揺れる、真由の腰の動き。“ズレて”いないことを確信する。溢れ出る愛液を飲み、代わりに、尖らせた舌先を刺しこむ。楔(くさび)を打つように…。頭髪とは違う角質な毛が、何度も秀典の口に入りこんでくる。一度二度、指で取ろうと試みて、やめる。涎と愛液に汚れた自身の口元が、今はたまらなく愛しく、淫らに思えるから。鼻先すら、その濡れた秘弁にねじ込み、愛撫と呼べない愛撫を繰り返す。全てを、飲み込みたい衝動が、視界を奪っていた…。


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