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惨酷メカ:バーチャル・カプリコン、と芋掘りレジスタンス村娘(ケータイSF愚弄小説・18禁) ※第一部完結?※
【SF 官能小説】

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(特別編)カプリコンの心/犬にチョコレートは毒-3

7
 警告。
 犬にチョコレートは危険です。
 絶対に与えてはいけません。
 たとえ砂糖を減らしても、チョコレートそのものがテオブロミン中毒を引き起こすからです。


8
 セラが与えたチョコレートが原因で、二匹ほど死亡したらしい。
 この夜叉のようなセラも、珍しく半泣き。

「どうして犬、チョコレートで死んでしまうん?」

「うーん。人間って、すごく悪食で何でも食べるから。タマネギとかもダメらしいし、塩分や糖分強すぎとかも」

 パトリシアはそんなことを言いながら、人それぞれで、他の人には平気だったり良いものでも、本人にとっては毒だったり致命的なことはやっぱりあるのだろうと思った。
 おそらく自分たちも、世界がこんな風になる戦前・戦時中の「普通の生活と幸せ」なんて無理だし、場合によっては理想や固定観念の憧れは毒でしかないだろう。
 この世界には、もう昔のようなバレンタインデーはない。あるゲリラの一派が「バレンタインは婦女拉致の日」と決めて実行したために、崩壊してしまった経緯がある。今のクリスマスには、木になぶり殺したゲリラ捕虜の死体を吊して、村人の犠牲者を追悼するミサやお祈りする習慣。
 とっくに狂った世界と狂った人間。
 パトリシアやセラも、狂った人間でしかない。

「私が楽にしてあげる」

 セラが目を背け、耳を塞ぐ。パトリシアは拳銃を使って、中毒で助からなそうな二匹目にトドメをさす。
 それからセラはシャベルで大きな穴を掘って、二匹の犬を埋めた。平素から可愛がっていただけに食べる気にならなかったらしい。犬どもも、主人の娘の心を察して神妙な面差しでたむろして、弔鐘やレクイエムのように遠吠えなどしていた。
 彼女なりに思うところはあったか。
 きっと誰もが、自分なりの最後の「人間性」みたいなものにしがみついているのだろう。今はたぶんそんな時代なのだった。

(第一部・完?)


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