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ドッペルゲンガーの恋人/過去からの彼女(官能オカルト連作短編)
【幼馴染 官能小説】

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暗黒司祭とカリーナの対決-4

5
(やるしかないのか……?)

 とはいえ、これがどちらかと言えば容易な部類の代償の注文であることくらいわかる。
 あまり無碍にするのが得策とも思えなかった。
 命がけの賭けゲームをやることを思えば格段に安全ではあるだろう。処女膜喪失と精神的苦痛は別としても、まだ手足や内臓を失ったり、後遺症が残るような精神破壊されるよりは格段に有利な条件でもあるはずだ。
 カリナは数秒で覚悟を固めた。敵方の知識があるだけに決断にも迷いがない。

「あ? やってやるよ! やりゃいいんだろ?」

 どうせ別の世界の生では一度捨てたものだった。あとで将来の彼氏への言い訳や説明に困るだろうし、親に悪い気もする。しかしこんな状況ではやるしかない気がする。
 不本意ではあるし喧嘩腰になっているとはいえ、それでも他に選択肢はなかった。
 それにこいつらは外道だけれども、ゲームの約束事はけっこう律儀に守るのである。
 けれども当てつけるように念を押す。

「オイ! ちゃんと莉亜を助けるんだろうな?」

 鋭く睨むカリナに、ジョルジュは手を擦り合わせながら「もちろん」と答える。
 そこでカリナは顔を顰めて睨みつけながら、スカートの脇から両手を入れて、靴も脱がずにパンツを脱いだ。
 ふと思いついて訊ねる。どうしても気になるのだ。

「コイツって童貞?」

「まさしく。あなたのために上物をご用意いたしました」

「で、コイツは何かお願いしたの? 美女とヤリたいだけとか? そんで代償とかは?」

「ええ。そんなところです。代償もたいしたことではござんせん」

 じょるじゅは両手を擦り合わせる。ニヤニヤしてつくづく気味の悪い奴だった。

「たいしたことない? ろくに料金も取らずにコイツにはサービスなのか?」

「おっしゃるとおりでございますよ。その方があなた様のための屈辱や絶望が増すかと思いまして。あなたはVIPなお客様ですから」

「くっ!」

 カリナはふざけた物言いと事情に眉根を寄せた。
 暗黒司祭のじょるじゅは完全に喧嘩を売っているが、か弱い女の子が殴りかかって勝てるような相手ではない。今のカリナでなく、異次元メトロ車掌時代の彼女でも無理だろう。暴力の技量と能力だけでも車両長のコアラさんを凌駕しているし、おまけに強力な超常の力を持っているような、正真正銘の屈指の怪物なのである。
 つまりカリナの置かれた立場からすれば、こうしてじょるじゅが約束を守る気がある間に素直に言うことを聞いて、目当ての褒美(つまり莉亜の復活)を勝ち取ることだけが、唯一の現実的な選択肢なのだった。

(あとでコアラさんと鵺さんに通報してやるか……?)

 彼ら二人がかりならこのアホを確実に殺せるだろうか。だがそんなことをやれば駅同士の抗争になるから、おそらく鵺や駅長は反対するだろう。最悪は直情型で純情な(元警察特殊部隊の)コアラさんが一人で突撃して自爆するくらいが関の山だから、どう考えてもカリナは泣き寝入りするしかあるまい。

(でも、莉亜が助かるんだったら、ま、仕方がないか)

 冷静に考えれば必ずしも損な話ではない。取引としてはフェアな部類だろう。


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