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隠し部屋
【歴史物 官能小説】

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隠し部屋-7

7.

「あ……あちきは眠ってしまっていたざんすか?」
 ふと目を醒ましたお紺が驚いたような顔をしている。
「ああ、ほんの短い間だったがね」
「……申し訳ございやせん」
「いや、構わないよ、眠っているお紺をこうして抱いているのもなかなか心地良いものだったからね」
「あ……旦那様の上で……?」
「私がこうしたんだ」
「それでも……」
 お紺が身をよじって吉兵衛の身体から降りようとすると、吉兵衛は腕を緩めた。
 だが、尻をついて身を起こそうとしたお紺を後ろから抱きすくめた。
「素晴らしかったよ、お紺」
「お気に召したのなら嬉しゅうござんす……」
「この歳になるまで何人もの女を抱いて来たが、お前が一番だった」
「本当でありんすか?」
「まだ子供の身体だと言ってしまえばそれまでかも知れないが、大人とは違う美しさがあるものだな、この滑らかな肌、このさらさらの髪、この華奢な背中、この細い脚……どれをとっても素晴らしい、そして……ここだ」
「あ……」
「この中は熱くて締め付けて来て……気を許したらすぐにでも絞り取られそうだった」
「お気に召したのなら、まだ夜は長ごうござんす」
「そうさせてもらおうかの」
 吉兵衛はそう言いながらお紺の陰核をそっと撫で始める。
「ときに……言いたくなければ言わないでも良いが……どうして禿の歳で客を取る?」
「……五年、六年と待てばそれだけ年季が開けるのが遅くなりやすから……」
「早く郷へ帰りたいと?」
「……あ……あちきを売り飛ばした郷ざんす、あそこはあちきの帰る場所ではござんせん……」
「親に会いたくはないか?」
「訳あって売ったのはわかってるざんす、ひ……でも売られた身には訳などどうでも良いことざんす」 
「では、何か金が要り用な訳でもあるのか?」
「……佳の川姉さん……」
「佳の川がどうした?」
「姉さんもあちきも十でこの里に来んした、姉さんもいつかこの里を抜けられることを夢見ていんしたけど、叶うことなく宿替えになりんした……ああ……」
 吉兵衛にはそれで充分だった、花魁と呼ばれる最上級遊女は、もっと早く、六つ、七つと言った時分にこの里に来た中で見込みがある娘を選んで芸事や教養を叩き込み、容姿を磨き上げることで造られる、そして十五の歳を迎えた時、将来の花魁と見込まれた禿は振袖新造としてまだ客は取らせずに花魁の側で見習いをさせる、そうでない禿は留袖新造として客を取らせる、そもそも道筋が違い十では遅すぎるのだ。
 佳の川も十でこの里に売られて来た、そして留袖新造の道筋からでは座敷持ちとなるのがせいぜいだった、佳の川は年増になっても女っぷりが良くそこそこ売れていたが、それでも自ら証文を破ることは叶わなかった……新宿まで一度訪ねて行ったが、既に吉原にいた頃の気の張りは失せて十も老け込んだように見えた、新宿からも見切りをつけられれば江戸を下った街道筋の旅籠で飯盛り女にでもなる他はない……。
「この里から抜けるには今から客を取らないと無理……そう考えたんだな?」
「あああああ……あい……ああ……もう……」
 話している間もずっと陰核を弄ばれていたお紺は身をよじらせる。
「また挿れて欲しいか?」
「あ、あい……」
「ならば今度はこっちから」
「ああああっ……」
 吉兵衛はお紺を四つ這いにさせると後ろから貫いた。
 最初の慎重な挿入とは違う、有無を言わせない強烈な突き、そして腰と尻とがぶつかり合い乾いた音を立てるような激しい腰使い、最初の者とは打って変わった激しいまぐわい方にお紺の背中が大きく反り返ると、吉兵衛はお紺の胸に手を廻して引き寄せ、手を床から離させる。
「ひぃぃぃぃぃっ」
 吉兵衛はお紺の胸と腰をがっちりと抱きかかえてより深い所まで貫いて行く。
「あ……そんなことをされたら……」
「されたらどうなる?」
「気を遣ってしまいやす」
「構わないよ、いくらでも気を遣れ」
「で、でも……」
「私が、今夜のお紺を買った客がそう言っているんだ」
「あひぃぃぃぃ……」
 吉兵衛はお紺の女芯を指でまさぐり、同時につんと勃った乳首をつまむようにしてもて弄ぶ。
「あ、頭がおかしくなりやす」
「まだまだ」
 吉兵衛は両手でお紺を抱えたまま引き寄せ、両の膝が布団から離れるほどに突き上げる。
「あ……ぐ……あがっ……あがっ?」
 お紺が素っ頓狂な声を上げる、初めての感覚に襲われているのだ。

 常人より長いマラを持つ吉兵衛は女の中が行き止まりになっていることを知っている、そこまで届くのだ。
 そして佳の川とのまぐわいを繰り返す中で、マラの先を別の方向に向けられることに気が付いた。
 今お紺にさせているのと同じ姿勢を取らせて突き上げると自然と背を反らせて腹を突き出すような格好になる、その時偶然にマラの先が臍の裏に向かい、佳の川はいつもとは違う激しい反応を見せた。
 今、同じことをこの小さく華奢な身体にしようとしている、それほどまでに吉兵衛には火が付いていた。


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