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デスカンパニー
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デスカンパニー来世部〜輪廻の端〜-1

クルクル世界が廻る。

空間に解け合うこともなく分かりあうこともなく。

私はSANSE。
デスカンパニーの中で輪廻担当になっている。

人は生と死を繰り返す。
朝目覚めるように生まれ
夜眠るように死んで逝く。それはちょうど均衡のとれた絵画のように
今目に映る景色のように、当たり前に繋がっている。
常に命は尽きず繋がり合いお互いに影響し合っている。
因果の糸は輪廻の歯車に捲き付けられ絡まり合いながら流れて逝く。
糸を断ち切る事も求めることも人にはできない。
人は悲しい性に支配され、欲望に突き動かされては
搾取
排泄
を繰り返し続けていく。
この果てに何があるのかも思い描こうともせず、
足元しか見ることができない。
臆病で愚かな塊。
この塊達は各々の回転の中でのカルマによって
来世の果報が変わってくる。
愚者には愚者の道を。
賢者には賢者の道を。

閻魔様の閻魔帳に全てのカルマが記されていると俗世間の古い伝承には在るようだが、
違う。
結局、他者から裁きの鉄槌が墜ちるのではなく、自らが好き好んで進む道は結論的には地獄であったりその逆であったりもする。

輪廻の際に現世の業は残るものの個人の記憶意識や自己認識は一切剥奪されてしまう。
前世に囚われていては転生適わず、その場に留まるしかできない。
ちょうど重い荷物を持ちながら長旅ができないように。
現世の全てを打ち棄てる事程恐ろしいことが在るだろうか。
人は今此処に自分がいるという意識の下成り立っている。
自己認識とは真にそれである。
自己に拘るからこそこの俗世の枷に繋がれてしまうのだが、自己のない生活もまたない。
小さな事に人はこだわり傷つけ合う。
そしてこの欲望は生涯続く。
それをいとも容易く投げ捨てられるのだろうか。
自己を失った自分は一体何であろう。
蝉の脱け殻。
料理が空になった汚れた器。
捨てられた消耗品。
そこに生きる意義を見いだせず人は苦悩する。
人との繋がりや情、愛もそれに付随する。
重い。
大切なモノ。
生きてきた証を捨てる事が死の終わりであり、再生の幕開けになるだろう。
生きてきた証を捨てる。
振り返らず、二度と手の届かない場所へ。

デスカンパニーの来世担当として私は人々の転生の中の苦悩を沢山見てきた。
その光も闇も……
それを今から語るとしよう。

その男はスベルクといい、戦争で命を落とした。
国に愛する家族を残して肉隗と化してしまった。


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