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しにがみハート
【コメディ 恋愛小説】

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しにがみハート#2-1

俺と絢芽は今、商店街に居る。服を買う為に。夏の陽射しすら打ち返すほどの賑やかさ、買い物のおばさん…いや、お姉さんが歩いている。そういえば最近来てなかったから久しぶりだなぁ。



「この服とか良いですね〜♪」

ドクロTシャツを高々と掲げて、嬉しそうに微笑む死神、絢芽。ひょんな事から出来た俺の彼女。さすが死神、服のセンスが恐ろしい。

「可愛くないよ!!つか恐い!!」

誰だってそう思うだろう。超プリティフェイスがドクロ着てんだぜ?まず何があったか詳しく聞きたくなる。たぶん。

「え〜、孝紀さんセンスないですね〜。」
「お前がズレてんだよッッ!!可愛いのを選べ、可愛いのを!!」
「これ。」
「だからドクロは止めい!!」

あー、疲れる。相手が人間じゃないのが疲れる。別に死神だからって大騒ぎすることでもないが(俺だけ?)黒装束とデカイ鎌さえ持ってなければただの可愛い娘だ。…たぶん。

「これはどうですかね?」

そう言って差し出した、青いスカートに白いシャツ+帽子+グッ〇のバッグ+サングラス+カチューシャ+スニーカー。

あれ?多くね?しかもなんかブランド品一点あるし…。いや、服はドクロよりか格段に可愛いと思うよ。それは買ってあげたい。でもブランド品バッグとサングラスは要らないと思うんだけどなぁ…そこら辺どうなんだろ絢芽さんは。まさか買えなんて言わないよね。言わない。俺が女の子だったら確実に気をつかう。

「これお願いしま〜す♪」

あれぇ?レジから声が聞こえるよ?まさかまさか俺が払う訳ないよねぇ。つか無理。全財産8万しか持ってきてないし。つか8万ってリアルすぎるだろ作者。これファンタジーなんだから奮発しろよ!!

「孝紀さ〜ん!会計ですよ〜。」

予想的中。

「こ〜う〜き〜さ〜ん♪」

死地へと足を向ける俺。分かってる。あぁ、分かってるさ、どうやってあのバッグとサングラスを所定の位置へ戻すか、だ。あの頑固娘をどうにかしなくては。

「絢芽。」
「はい?」
「バッグを戻してこい。それとサングラス。」
「……何でですか?」

途端に目の色が変わる絢芽。ぬぅ、負けてられん。

「俺の金じゃ買えないんだ。」
「買って下さいよ〜。」
「だから足りないんだよ。」
「お願いしますよぉ〜。」
「無理なもんは無理なの!」
「……買え。」

出た!あの学校休めっつった時の顔&口調!!負けてらんねぇよ?今回ばかりは!!

「…無理。」
「買え!!」

『あの〜お二人さん、喧嘩は止めましょうよ。』

「「うるさい!」」

店員の制止すら無視する俺達。熱いぜ!!


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