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蜜戯
【SM 官能小説】

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蜜戯-13

彼との蜜戯は誰にも邪魔されることなく、わたしと彼をさえぎるものは何もなかった。わたしは彼がとても欲しくなる。欲しくて、欲しくてその欲求を抑えることはできなくなっていた。わたしは安楽椅子から彼に操られるようによろよろと立ち上がった。
抱いて欲しいわ……。ふと口にしてしまった声が彼の視線に深く吸い込まれていった。すでにわたしと彼とのあいだにある何もかもが高められていた。ふたりの肉体は同じ色に濃く染まり、蜜の戯れによって熟れ切ったときを迎えようとしていた。
ベッドの中でわたしたちはぎこちなく抱き合った。七十八歳の老いたわたしの肉体が薄く乾いた皮膚を突き破るように弾け、彼の瑞々しい肉体の熱に冒され、溶けていくようだった。彼の唇が、指が、瑞々しい肉肌と骨格が、わたしのあらゆるところに忍び込んできた。わたし胸の鼓動も、血流も、骨の関節も、毛穴から滲み出る体液も、すべてが彼を欲しがっていた。
わたしは彼の引き締まった太腿にあてた手を内腿にすべらせ、ペニスの気配をうかがう。わたしだけに向けられているという、確かな意味のあるペニスは愛おしい彼の指の延長であり、指そのもののような気がした。初々しいく漲(みなぎ)ったペニスに触れるわたしの手が悦んでいた。指先は彼との蜜月を楽しむようにペニスに絡まり、戯れる。
そのとき、もう何年も渇き切ったわたしの肉奥に泉が湧きだすような音を聞いた。わたしは彼のものを含むことができるような気がした。いや、彼のものをどうしても含みたいという欲望を抑えきれなかった。
入れて……入れて欲しいの。わたしの言葉に彼はためらった。わたしの肉体は彼の腕の中でますます小さくなり、蕩けるように潤んでいた。その潤みは肉体を溶かし、関節の軋みを麻痺させていた。
いいんですね……。そう言った彼はわたしを抱き寄せ、流れるように弛んだ乳房の谷間に指を置き、微かに浮いた肋骨をなぞった。彼の若い肉体と老いたわたしの肉体は溶けた絵具のように混ざり合い、胸の上に置かれた彼の指と腿のつけ根をまさぐるペニスが同時にわたしの中に麗しい絵を描いていくようだった。
わたしは彼に強く引き寄せられた。腰が密着し、下腹部の肉がゆるんだ。ひんやりとした冷気が腿のつけ根を撫でるような感覚。彼のものがわたしの肉唇を優しく開き、挿入され、空洞を埋め尽くしてくる。不思議なほど痛みを感じなかった。痛みよりも懐かしいものに触れたような気がした。自分が老いていることをすっかり忘れ去れてしまうような心地よい瞬間だった。
乾ききったわたしの中がいつのまにか甘い潤みに包まれた錯覚にとらわれる。なめらかでしなやかなものが、女としてのわたしの感覚を呼び戻すように肉奥の肉洞を充たしていく。柔らかい肉襞が心地よく喘ぎ、血管が浮き上がり、無数の肉線となって息吹き、彼のものに絡まっていく懐かしい肉の記憶。彼の腰は烈しくも、狂わしくもなく、慎ましやかな音楽をわたしの中で奏でるように穏やかに動いた。

ふと目にした暗闇に沈んだ庭の草木がしっとりと露に濡れ、月灯りが庭の風景を薄墨に浸すように包んでいる。わたしの体はひたひたと風景に埋もれていく。彼の身体の重みが心地よく、わたしと彼とのあいだに流れる互いの体の鼓動が微かに聞こえてくる。彼のペニスは、とても優しく、敬虔に、さらに深くわたしの中に入ってくる。
一瞬、ぐっと彼のものがわたしの肉奥を押し上げたとき、弓のように体をしならせたわたしは、ベッドのシーツを強く握り締めた。
うっ……ああっ…………あっ……
痛いですか……。彼はわたしの髪を愛おしく撫でながら耳元に囁いた。
いいの……もっと、もっと深く欲しいわ。あなたのもので、もっと虐めて欲しいわ。わたしは彼の身体を強く抱き寄せ、喘ぐように言った。
わたしは彼に捕らえられた蝶かもしれない。彼はわたしの枯れ果てた洞窟までわたしを追ってきて、わたしを捕え、蜜の香りでわたしを潤ませる。そして身震いするような優しさでわたしを虜にする。
あっ、あっ………ううっん……
途切れることなくわたしの喘ぐ声が糸を引くように淡い光の中に吸い込まれていく。


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