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『茜色の空に』
【女性向け 官能小説】

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『茜色の空に、始まり』-6

僕は一番に着き、次に明香さんとみのりさん、最後に蓮さんが合流した。
みのりさんも蓮さんも、明香さんから話を聞いていたのか、僕が居る事に驚く風でもなく、快く同乗させてくれた。

「何処行くんですか?」
助手席に座った僕は、隣で運転する蓮さん──この人も明香さんやみのりさんと同じ3年生だ──に聞いた。僕の酔いは大分冷めていた。

「多分もうすぐ。」
蓮さんの代わりに後ろから明香さんが答える。

車は昼間に釣りをした所よりも、更に上流に向かって走っていた。外は漆黒の闇夜だ。
こんな辺鄙な所に何で、と思っていると、車は停車した。

「この辺かなあ。」
蓮さんはのんびり言うが、ここはただの草むらだ。静か過ぎてちょっと無気味だ。

「蓮君有難う。」
明香さんはそう言って、懐中電灯を照らす。

懐中電灯のか細い明かりを頼りに、僕達は川の流れる音のする方へと歩いて行った。
肝試しみたいだな、と、ぼんやり考えながら先輩達の後を着いて行くと、

「わあ〜っ!きれーいっ。」
「本当!すごーい!」

無数に揺らめく黄緑の小さな光。光っては消え、消えては又光る、そう、蛍だ。

僕は初めて見る光景に思わず息を呑んで見つめた。残っていた酔いもたちまち覚めてしまった。
蛍の群は、儚く瞬きながらゆらゆらと自由に空を舞っている。

「今年はね、暑いから蛍の見頃がいつもより早いんだって。」
暫く4人で黙ったまま蛍が舞うのを見つめていたが、明香さんがそう説明してくれた。
蛍って、8月とか真夏のモノかと思ってた。知らなかった。

「いやー、最初明香に蛍見に行こう、って言われた時はちょっと引いちゃったけど、でも来て正解っ!カンドーだね、この光景は。」
興奮するみのりさんに、明香さんはうん、と答えた。真っ暗なので、表情は分からない。
きっとあのいつもの柔らかい微笑みに違いない。

暫く皆してぼうっと、美しい光景を眺め、そして、いい加減戻らないと、と言う蓮さんの声で車に戻った。

学校に戻ると、そこは相変わらず宴が続いており、僕は結局又酔い潰れてしまったのだった。

次の日、合宿の2日目は、昨晩の酒宴のせいで早起き出来る連中はほとんどおらず、昼前にやっと全員が揃って、おにぎりやら味噌汁を食べた。

2日目の午前中に予定されていた散策とやらは勿論中止になり、皆でのろのろと、夕方からのバーベキューと、キャンプファイヤーの準備に取りかかった。
学校からすぐ見下ろせる川原でやるらしい。

二日酔いの頭痛のする頭で、歩いてビールケースを運んでいると、高志が大きいクーラーボックスを肩から下げて僕の隣にやって来た。


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