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『茜色の空に』
【女性向け 官能小説】

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『茜色の空に、始まり』-5

「しんちゃん達の歓迎会なんだから、しなくていいよ?こうゆうの、3年がやる事になってるから、しんちゃんは再来年頑張って?私、去年とかお手伝い何にもしてなかったし。」

ああ成る程。そういやオリエンテーリングとか歓迎会とか、全部3年の先輩が仕切ってたっけ。合点がいった。

「うん、でもあんな美味しいカレー作って貰ったんだし、片付け位はしないと。」
「美味しかった?良かった。有難う。じゃあ、お言葉に甘えて。服濡らさない様に気を付けてね。」

僕も明香さんも一人暮らしの為か、それからテキパキと段取り良く片付いていった。
「しんちゃん有難う。」
「いえいえどういたしまして。」

そんなやりとりをしていると、又チャイムの音。
『これから川に魚釣りに行きまーす。全員校庭に集合ー。』

「あーもうそんな時間?しんちゃんも頑張って晩ご飯確保してね。」
楽しそうに明香さんは言うが・・。川魚なんて食えるのか?
「明香さんは?」
「私はお留守番。夕ご飯の準備ちょっとだけあるし。いってらっしゃい。」

釣りの道具はここに常備してあるみたいで、各々身支度を整えて出発する。
学校から見下ろせる所に川が流れており、その川に沿って上流へ進む。

川はとても綺麗で、先輩の話によると、イワナやヤマメ、運が良ければ天然の鮎なんかも捕れるらしい。

が、そう物事上手くいく筈もなく、日が落ちかける迄皆で粘ったが、釣果はゼロだった。

がっかりしながら学校まで戻ったが、既に夕食の準備は出来ていた。
ほとんどが、みのりさんが買い出した出来合いの物で、サラダや唐揚げなど簡単な物は女性陣が手作りしたみたいだ。魚なんか期待してなかった、と言わんばかりの量だ。

驚いたのは用意されたお酒の多さ。5ケース分のビールと、1升瓶の日本酒とか焼酎が3〜4本、ワインなんかもある。
僕は途中から記憶の無くなった歓迎会の醜態を思い出し、目眩がしたのだった。


案の定、その日の夜はドンチャン騒ぎ。
僕は、この前みたいに記憶をなくしてはいけない、と肝に銘じていた為、先輩達からのお酌攻撃を受ける前にお酌をする、という作戦を取っていた。

それでもかなり飲まされて、少しふらつく足でトイレに向かっていたその時、女湯、と書かれた浴場から明香さんが出て来た。

お風呂上がりで上気した顔、少し濡れた髪、石鹸の良い香り、思わず立ち止まってしまった。

「大丈夫?」
僕の様子を見てとって、明香さんは眉を下げて聞いてくる。

思わず見とれてしまっていた僕は、慌てて、
「あ、はい、何とか。」
とだけ言うのが精一杯だった。

そう?と、小さく呟いて僕に近付いて来る明香さんにドギマギしていると、
「酔い覚ましに、ちょっと外出る?みのりと蓮君とこっそりドライブ行くの。」
「いいんですか?僕も行って。」
「うん、もうちょっとしたら蓮君の車に集合ね。白い車だから。」

じゃあ後でね。と言い残して明香さんは2階の自分の部屋に戻って行った。
僕はトイレを済ませ、他の人に見付からない様、人目を気にしながら玄関に向かったが、ホールでは相変わらず酒池肉林が繰り広げられており、誰も僕に気付いていなかった。


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