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透明な炎
【女性向け 官能小説】

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大船駅から少し歩いたその店は
古民家のような建物で住宅街にあった。

地元の人しか行かないんじゃないの?
って感じのその場所にしてはすごくいい感じで
食事もおいしくお酒がはずんだ。

「今日のクラゲ綺麗だったよね!」
「あぁ」
「クラゲってさ海の月って書くじゃん」
「あぁ」
「本当にその通りだったよね!」
「あぁ」

お酒が入って機嫌よく今日の思い出に浸って饒舌になると
それを嬉しそうに眺める武藤がいて。

段々悲しくなった。

この時間が楽しくて
今日のデートが楽しくて。
私はこのオトコ以上の男を探さないと恋愛できない。

ふとそんな感覚に黙り込むと
「どした?」
私と同じペースで飲んでるくせに明らかに酔っていない顔で
私の顔を覗き込む。

「イイ男紹介してよ」
「だから無理だって」
「あんたよりイイ男じゃないと私、恋愛できないから」
「俺とする?」

無責任な言葉にじわっと涙が出て来て

「恋愛だけじゃなくて・・・
不倫じゃなくて!
ずっと一緒に居たいの!
その人と恋愛したいの!
そしてその人と結婚したいの!」

ほんの少しだけ声を大きく出して言うと
我慢していた涙が一粒流れた。

「バカだな」

そう言うと武藤は私を自分の肩に抱え込んだ―――




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