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【学園物 恋愛小説】

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想[4]-1

最後の授業終了を告げる鐘が鳴ると、未宇は私の腕を引っ張って玄関までダッシュした。
「つ…かれた…」
「何甘いこと言ってんの。若いんだから、シャキッとしなぁー!!さっ、早く暁寿にメールでも入れとけ」
私の背中をパシーンと叩くと自分はさっさと靴を履き換えた。
「わかった」
私はケータイを取出し暁寿にメールを送った。


『今日、未宇と一緒パフェ食べ行くの。だから一緒帰れないんだ…ごめんね!また明日一緒帰ろう!!』


よし!
私はブレザーのポケットにケータイをしまうと、脱いだ内履きを下駄箱にいれ、代わりにローファーを取出し、急いで履くとすでに数メートル先の校門で「早くぅー」っ駄々を捏ねる未宇のもとへ走っていった。
「主里遅いっ」
「ごめん。じゃ行こっか!案内してよね?」
「この未宇ちゃんにまっかせなさいっ!」
ぐいっと胸を張ったその瞬間、未宇は段差につまづいて転びそうになっていた。
「大丈夫かな…」
「あはは…大丈夫!」
ニカッと恥ずかしそうに笑う未宇からは、とてもじゃないけど普段の未宇は想像出来ない。切れ長二重の目に白い肌。すうっと通った鼻筋が美人を際立たせた。背中の中程まである黒髪は自慢の『天パ』でウェーブが掛かり、とても大人びて見える。身長に関しては私も小さいほうでは無いにしろ、確か未宇と私は6センチ差があった。てことは未宇は…168センチ!?フラミンゴのように足も長く、白樺の枝を思い出させる腕の先の掌には、白魚が両方5匹ずつ生息していて羨ましい限りだ。簡単に言うならスタイル抜群!あまり話したことがない人には『クールビューティー』に見える、らしい。そんな未宇の欠点は…まぁ、後々分かるだろう。おドジっていうところも欠点の一つってことで…。


「あっ、ここ!」
未宇は私の腕を引っ張って真新しい感じがする店の前に連れてきた。看板には『U-LOVER』と筆記体で書かれていた。未宇は「ショウウィンドウに」なんて言うからどれだけデカイ店なのかと思ったら…。これは小さなショウケース。昨日はたまたまパフェが飾られていたみたいだけど、今日はカルボナーラスパゲッティが綺麗に並べられたフォークと共に置かれていた。
「アッレェ〜?昨日はパフェ飾られてたのに…」
中身が日替わりで変わることを教えてあげると
「紛らわしいね」
「どこが!?」
未宇の思考回路がよくわからない。日替わりの方がいいに決まってんのに…。
「んなことより、早く入ろうよっ」
「うん!」
私は初めて入る店に少しドキドキしながら未宇の後に続いた。


この『U-LOVER』はすごく素敵なカフェだ。
室内は白と黒でまとめられていて、すっきりとしている。外からみるとそれほどでもなかったが、実際に中に入ると奥行がありテーブルとテーブルの間が広くていいと思った。
私たちが一番奥の二人掛けのテーブルに腰を下ろすとウェイトレスの綺麗な女性がお洒落なグラスに入った水を持ってきてくれた。その女性が「この水にはレモンの輪切りが浸けてあるんです」と教えてくれたので恐る恐る口に運んでみたら、酸っぱ味はなく仄かにレモンの香がした。
「すっごく飲みやすいね。おいっしい!」
味宇の言葉を聞いて確かにそうだと思った。水道水独特のくせや味などが全くなく、とてもさっぱりしていた。
いい店を見つけた♪


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