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music☆lover
【純愛 恋愛小説】

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music☆lover-2

佑介が帰った後も色々今後の事を考えていたけど、疲れていた所為かすぐに眠ってしまった。
次に目が覚めた時には、さっきの事が夢であれば良いと願うのだ。
本当に夢だったら、どんなによかったか。
そんな無駄な事を幾ら考えても、朝はやってきて空が明るいのを確認すると昨日の言い争いが脳裏に蘇る。
だったらやめれば良いじゃん、とか。
あたしよりもデビューする方が大事なの?、とか。
佑介の困った顔。
彼は何も言わなかった。
当たり前だ。
一緒に居たいがあまり、次々と口から飛び出す残酷な言葉。
ホントはあんな事言いたくなかったのに。

今頃になって実感する。
今まで通りの生活なんて出来る訳がない。
だけど思ってしまう。
どうにかして佑介の側にいたい、と。



それでも時間は過ぎていく。
今日も施設の部屋を借りて音合わせ。
「どうぞ」
コンビニで買ってきたパンとペットボトルを袋ごと佑介の前に差し出す。
「…どうも」
彼は恐る恐るそれを受け取った。
そんな警戒しなくても何もしないのに。
「ちょっとゆっき?」
今いる所とは対角線上の部屋の隅で、ナオキとリュウジが手招きして呼んでいた。
「何ですか」
「ゆっきキャラ変わってるよ。ねぇ、よそよそしい。何あったか言いな」
あたしはナオキの向かいに座って炭酸のキャップを開けた。
「何もなんも、別れた」
「は!?」
いつ、とかなんで、とか訊いてくる二人の質問に適当な返事をして曖昧に促した。

そんな事じゃなくて。
今考えるべきなのは。
どうすれば佑介と一緒にいられるか。
あたしは佑介の背中を黙って見つめていた。
すると突然奴は振り向いて、目が合ったと同時にあたしを呼んだ。
「優姫?」

その瞬間だった。
あたしの頭の中に、一つの案が浮かんだ。
大丈夫。これなら出来る。
「佑介、あたし…」
「優姫、お前ドラムやらねぇ?」
「は?ドラム?」
ドラムはリュウジがやってるよ?
「おい佑介、だったら俺はどうなんだよ」
リュウジはドラムをやってる。だけどベースも弾ける。
そしてベースのナオキをギターに移し、ボーカル兼ギターだった自分は声一本。
佑介はそう説明した。
「…悪くはないかもしれないけど…」

違うよ佑介。
そんな面倒な事をしなくても、あたしはアンタと一緒にいられるポジションを見つけた。

「ねぇ、あたし…作詞したい」
それでアンタの側にいたい。

「作詞…か」
「あたし詩とか書くの、得意って程でもないけど好きだし…みんなが移る必要もないじゃん?
…駄目かな」
三人の顔を見るのが恐くて、正座をしながら頭を下に垂れた。


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