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ケイの災難
【コメディ 恋愛小説】

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香織と亜里沙の対立-2

それから数日後の日曜日、圭介の姿で散歩をしていると片桐亜里沙と出会ってしまった。
場所は前回と同じく鶴ヶ峰城の庭園での事だった。
ただ、今回は前とシチュエーションが違っていて圭介は女装をしておらず、亜里沙の方は着物を着ていたのだ。
故に圭介は亜里沙を認識していても亜里沙は男の姿である圭介の事はその辺の通行人程度の認識だったのである。
そして亜里沙が自分の足元を見て困った表情をしてる事に圭介は違和感を感じ、良く見てみると草履の鼻緒が切れていることに気付いたので亜里沙のところへ歩み寄り声をかけた。
「鼻緒が切れたんですね。肩を貸しますからちょっと見せてもらえますか」
声をかけられた亜里沙は少し申し訳なさそうな表情を見せたが、自分では現状をどうする事も出来ないのを理解していた亜里沙は礼を言い圭介の言葉を素直に受け入れたのだった。
その亜里沙の反応に先日の態度とのギャップを感じた圭介は内心驚きつつも亜里沙の傍でしゃがみ肩を貸してから鼻緒の切れた草履を手にした。
「ふんふん、なるほどね…。これならすぐに直せるからちょっと待ってってね」
普通の男子なら草履の鼻緒の修繕なんて出来るはずもないのだが、圭介の場合は奈津ねぇという従姉妹に散々こき使われてきた中で本人の意思とは無関係に色々なスキルを身に付けていたのだった。故に着物の手入れも経験済みなのでこうした物の修繕もすぐに出来たのだ。
「見た目が悪くなっちゃうけど応急処置だから我慢してね」
圭介はそう言うと取り出したハンカチに歯を立てて一気に引き裂き手際良く鼻緒を直していった。
「手馴れていらっしゃるんですね。貴方も着物をお召しになるんですか?」
圭介の肩に手を置いたまま驚きの表情で見つめる亜里沙だったが、手早く作業する圭介に感心しつつ訊ねたが返ってきた答えは亜里沙が予想していたものとは違った。
「いや、俺は着物を着たりしないけど一時期、質の悪い従姉妹の着物をよく手入れさせられてたから勝手に覚えちゃったんだよね」
作業をしながら話す圭介はバツが悪そうに苦笑し、草履の修繕を終わらせると亜里沙の足に草履を履かせた。
その時に白い足袋と着物の裾の間からチラリと見えた亜里沙の素足にドキリとさせられた圭介は自分の顔が赤くなるのが分かり亜里沙に顔を見せづらくなったのだ。
「困っているところを助けて頂いて本当にありがとうございました。今すぐにでもお礼をしたいのは山々なんですがこれから所用が入っておりますので後日にでもお礼をさせて頂けませんでしょうか」
「別にお礼なんていいですよ。大した事してませんし」
圭介はそう言いながらにこやかに遠慮したのだったが、亜里沙の方は諦める気配を見せず「電話番号だけでも…」と言ってきたのでこれ以上の拒絶は流石に失礼だなと思った圭介は自分の名前を名乗ったあと、亜里沙に携帯の番号を教えると亜里沙も自分の名前を名乗り二人はその場を離れ圭介は街中に歩き出したのだった。

亜里沙と別れた圭介は鶴ヶ峰城の庭園を離れ、今は街中の本屋で立ち読みをしていた。
「おねーちゃん!」
聞き覚えのない女の子の声と同時に俺は背後から腰に抱きつかれたのだ。しかも、勢いがあったのか俺は抱きつかれた瞬間に少しバランスを崩しそうになった。
一体誰なのかと思い振り返ると、いかにも元気溌剌な笑顔とまだそんなに長くないツインテールが印象的な女の子が抱きついていたのだ。
ホント誰なんだよこの子…?
「おねーちゃん、何を読んでるの?って、あれっ!?おねーちゃんじゃない!?おねーちゃんがおにーちゃんになっちゃった!?」
「んな訳ないって……」
俺の顔をマジマジと見ていた女の子が急にハッと我に返り、俺の腰に回していた腕を放すとごめんなさいと言いながら勢い良くペコペコと頭を下げるのと同時にピョコピョコと揺れるツインテールが可笑しくてつい俺は笑ってしまったのだ。
「ほら、もういいから。そんなに何度も頭を下げてると目が回るよ」
俺がそう言った時にはすでに手遅れで女の子は目を回しかけていた。その様子を見て苦笑する俺だったが、女の子はすぐに立ち直り今度は顔を顰めて悩み始めたのだった。


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