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新任女教師 芳田倫子の日常
【教師 官能小説】

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私立椿子幡高校-1

「起立。」
「礼。」
「おはようございます。」

2年2組の教室、
芳田倫子の担任するクラスだ。
芳田倫子はこの4月、この高校の美術教師として赴任した。

美術大学を出たばかりの22歳、
整った顔立ちではあるが童顔だった。
女子高生と見間違われるほど幼い顔をしている。

「モデルをやっているの?」「モデルになりませんか?」
そういった類いの言葉は数えきれないほどかけられてきた。
実際、CМやドラマにでも出演していそうな美人だった。


倫子の赴任した椿子幡高校は都心から少し離れた町にある、
いわゆる進学校とは違ういわば3流、4流の私立高だ。
主要5教科と呼ばれる教科学習では完全に落ちこぼれの、
それでいて実技系の才能に長けている生徒が集まっていた。

運動系と芸術系の部活が盛んで、県大会でも優秀な成績を修めている部も多く、
部活目的でこの高校を選ぶ生徒も多くいた。

事実、倫子が美術を担当する芸術コースの生徒も、
毎年コンクールで賞を取るようなメンバーが集まってきている。
そして同時に倫子は美術部の顧問も担当していた。

そんな倫子が担任しているのは2年2組。
授業はスポーツコースと芸術コースに分かれてはいるが、
クラスは二つのコースの生徒が混在して編成されていた。

男子のほとんどがサッカー部とバスケットボール部、そして野球部に所属していた。
女子の方はというと、バスケットボール部が数人おり、
男子2名、女子3名の美術部に所属する生徒もいた。

総勢30名を超える2年2組だが、クラスはサッカー、バスケットグループと、
野球、美術グループの2つのグループに分裂していた。

それと言うのも、
そもそもサッカー部とバスケットボール部の連中は部活をするためだけに
この高校に通っている生徒だった。

授業など見向きもしなかった。
部活において優秀な成績さえ納めれば、
系列の大学にスポーツ推薦で進めることが確約されていたからだ。

それだけではない。
そもそもサッカーにしてもバスケットボールにしても、
審判の見ていないところでラフなプレーを行い、
いかに自分が有利な状況でプレーするかということに長けたものだけが
レギュラーになれるようなスポーツだ。

対戦相手のことを敬うどころか、
チームメイトでさえ隙あらば蹴落としてやろうとする、
そんな身勝手な論理が正しいと少年時代のチームのコーチから教えられてきた、
いわば勝利至上主義の地域スポーツのエリートたち。

そしてこの学校のサッカー部とバスケットボール部の監督やコーチも、
勝つためならば手段を択ばないタイプの指導者だったのだ。

「ディフェンスの時は相手のユニホームが切れない程度の力加減はするように。」
「レッドカードだけは食らわないように、ブラインドをうまく使え。」
試合前のロッカールームではそうした指示が監督・コーチから、
選手たちに公然と与えられていた。

プレーヤーが屑なら指導者も屑ばかりだ。
それでも県大会優勝、全国大会出場という華々しい功績が彼らを思いあがらせ、
増長させていた。

野球部のように、指導者自らがスポーツマンシップにのっとった指導を行い、
部員たちも普段の生活からルールを順守して生活することを重んじている部活もあった。

しかし県大会では甲子園常連校と呼ばれる強豪校に阻まれ、
ベスト8止まりの野球部に比べ、
全国大会にも何度か顔を連ねたサッカー部とバスケットボール部に所属する生徒たちが、
この学校の顔であり、いわば宣伝材料だ。

学園長以下学校経営に携わる人間からの熱い支持もあり、
また系列大学からの強い要望もあって、
サッカー、バスケット部の生徒たちは優遇され、
怖いものなしで校内を我が物顔で歩いているのだった。
そうした輩がこの倫子のクラスの半数を占めていた。


ゲームにおいてルールを守らないのが当たり前のサッカー、バスケの選手たちにとって、
学校のルールも社会のルールも、無いものに等しかった。
ゲームでは審判の目を盗んでやる反則行為を、
校内では教師の目の前で平然と行った。

そんな彼らが新任教師である倫子の話など聞くはずはなかったのだ。
倫子は野球部と美術部の生徒が話を聞いてくれるのを支えに毎日を乗り切った。

とはいえ、新任とはいえ倫子もクラスを任された教師だ。
2年2組の担任として、芳田倫子も授業を教えること以上に、
クラスをどう立て直していくかということには頭を痛めていたのだった。


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