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真奈美の性春
【学園物 官能小説】

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生野家と斎藤家 家族の生き方-5

「いや、しかしそれは、世間では通用しないでしょう。」
「世間、ですか。確かになかなか理解はされないでしょう。
 でも、真奈美ちゃんの生き方としてはどうでしょう。
 自分の得意なことを最大限に発揮して生きていく人生と、
 自分の苦手なことを恥じながら引け目を感じながら生きていく人生。」

「知的な遅れがあっても、ということですか。」
「真奈美ちゃんにとって、それは大した問題ではない。
 失礼ながらご両親もそのように思って、
 これまで真奈美ちゃんを育ててこられたのではないですか?」
「それは、確かにそうですが………。」
「話としては分かるが現実としては受け入れるのは難しい。
 そうじゃありませんか?」

「そうですね。真奈美の良さを伸ばす。それがあの子にとって幸せだ。
 わたしたちもそう思ってあの子を育ててきました。
 その良さの、最大のものがセックスだった、ということですか。」
「はい。そしてそれは少しも恥じることではないということです。」
「しかし、現実の世の中には、
 セックスの能力があるということを素晴らしいことだと認めるような環境はない。」
「おっしゃる通りです。」
「親である我々が受け入れていかなければ、真奈美には幸せは訪れない。
 そうかもしれませんね。」

「セックスの能力が高いということを素晴らしいと認めることは、
 真奈美ちゃんそのものを素晴らしいと認めることになるのです。」
「それを否定すれば、それは真奈美そのものを否定することにもなる、ですか。」
「はい。それは真奈美ちゃんにとってはもちろん、ご両親にとっても不幸なことです。」
「親としての育て方そのものを否定することになる。」

「そうです。そしてもう一つ。」
「まだ何かありますか?」
「はい。抑圧された欲望は解放してあげなければ、
 それもまた大きな不幸につながるということです。」
「抑圧された欲望、ですか?」
「はい。奥様のことです。」
「香澄が?」

「はい。先程、真奈美ちゃんの病気のことがわかってから、
 夜の生活がなくなったとおっしゃっていましたね。」
「ええ。とてもそんな気にはならない、と。」
「しかし、失礼ながら、それまでは頻繁に奥様の方から求めていらしたと。」
「はい。正直、わたしの方がついていけない時期もありました。」
「しかし、奥様は真奈美ちゃんのことがわかってから、それを封印されてしまった。」
「それが抑圧された欲望、ですか?」

「はい。自制していると言うと、聞こえはいいのですが、実はストレスの原因になる。
 そのストレスを自己防衛本能で、ストレス自体ないかのようにふるまってしまう。
 それが抑圧です。」
「ストレス自体がないかのように、ですか。」

「はい。おそらく奥様は非常に大らかな方なのでしょう。
 だから欲望のままにセックスを求めることもできた。
 しかしその一方で、非常に理知的な方でもあった。
 自分の中の相対する思いに、知らず知らずのうちに蓋をしてしまった。
 欲望と理性がぶつかり合い、理性が完全に欲望を抑え込んでしまったのです。」

「つまり、香澄は、妻は、セックスをしたいのに、無理やり我慢してしまったと?」
「簡単に言えば、そういうことです。
 そしてそれがストレスとなり、精神のバランスを崩していく。
 無気力、そんなものを奥様から感じたことはありませんか?」
「そういえば………以前にはなかったことですが………。」

「それはやがてうつ状態を引き起こしかねません。
 精神の解放、抑圧された欲望の解放が必要です。」
「欲望の解放……。つまりそれは、セックス、ということですか?
 でも、妻は、わたしから求めても一切応じなくなったんですよ。」
「つまりそれが蓋をしたということです。」
「妻は………香澄は、今でもセックスをしたいと思っている………。」
「はい。そうだと思います。
 そして、奥様のそういった行動によって、
 雅和さん、あなたご自身も自分の欲望に蓋をしてしまった。違いますか?」
「わたし、自身も、ですか?」
「はい。雅和さんも奥様の求めにいやいや応じていたのではないはずです。
 しかし、奥様が拒むようになってからは、
 雅和さん自身も、断られた、拒まれたというストレスを持たないよう、
 自分の欲望に蓋をしてしまった。
 セックスをしたいという気持ちさえ持たないようにしてしまった。違いますか?」

「そ、う、かもしれません。」
「あなたも、その抑圧された欲望を解放することが必要なんです。」

「そのために、今日のパーティーがあるのです。」
ずっと黙ったまま二人の話を聞いていた紗理奈が口を開いた。
「異性の身体を見たら興奮する。触りたくなる。喜ばせたくなる。身体を求めたくなる。
 そして絶頂を味わいたくなる。その全てが自然なことです。」

紗理奈はそう言いながらゆっくりと立ち上がり、再びドレスのボタンに手をかけた。
そしてさっきと同じようにドレスの前を左右に開き、胸を露出させた。
征爾も立ち上がり、娘の肩に手をやると、
両肩にかかったドレスの布をゆっくりとずらしていく。
音もなく、紗理奈の両肩からドレスが脱げ、床へと落ちた。

目の前には、一糸まとわぬ若い女性の裸身が現れた。
征爾は娘の後ろに回り、肩に置いた手をゆっくりと下ろし、両方の乳房に触れた。
そして乳房を手のひらでそっと撫でるように動かし始めたのだ。


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