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あたしのYANG KEY
【コメディ 恋愛小説】

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あたしのYANG KEY-8

「はあぁぁああ!?」
あたしはつい立ち上がってしまった。
「何ソレ!?みっくん、超いい人じゃん!!」
みっくんはちょっと困ったように笑った。
「絶対、あたしが誤解解いてあげる!」
「やめろ!誰も巻き込みたくねんだよ…」
「みっくんに巻き込まれるんなら本望だよっ!」
あたしはみっくんを見つめた。わかってよ、あたしの気持ち…。
「熊公は証拠が無いから何も出来ないけど、あたしたちは言うことだけなら出来る。それぐらいなら、何も問題にならないし…!」
「あたし…たち?」
「あたしとみっくんとめぐとホッシー!」
「まじで…?」
「当たり前よ!!それに、みっくんは恐くないってこと証明しなくちゃ!」
あたしは拳を天高く突き上げた。
「よぉっし、やるぞー!オーッッ!!」
あたしはやるぞ!!こんなこと聞いて黙ってられるほど人間出来てねぇわよ。
「頼香、相当難しいと思うぞ?ていうか、無理だと思うぞ?」
「うん、わかってる…でも大丈夫!取り合えず今日は帰るね。また明日来るから。みっくん、行くよ」
あたしはみっくんの腕を引っ張って校長室を出た。時間っつぅのは早いもので、とっくに8時を回っていた。真っ暗な校舎に人の気配はなく、二人分の足音が妙に響いた。
「怖くねぇの?」
みっくんが声を潜めて聞いてきた。心成しか声が震えている。
「全然」
残念ながらあたしは、幽霊やらお化けやら全く信じない性格でして。むしろ暗いと何だかウキウキしてくる。学校に忍び込んでる気分で楽しい。だから、あたしには「キャー、怖いぃ」とか言う女の子の気持ちがさぁっぱりわからん。
「教室よってかない?」
「えー…ヤダ」
みっくんはふるふると頭を振った。
「はぁ?怖いの?ほら、行くよ」
あたしはみっくんの裾を引っ張って、ずんずん進んで行く。
教室に近付くにつれて、あたしのウキウキメーターはどんどん上がっていく。教室まで数メートルというところまでくると、誰もいないはずの教室の中から話し声が聞こえた。ついに出たか?幽霊さん!
「…ねぇねぇ、何か声しねぇ?」
「何だろ…♪」
「ヨリ、行くなって…幽霊だったらどうすんだよ…呪われんぞ…!」
ワクワクするぅ!!幽霊いるならぜひお会いしたいくらいだ。
あたしはそっと教室に近付き、閉められているドアを少しだけ開けて中を覗いた。
「…!」
あたしは唇に人差し指を当てながら、遠くでビクついているみっくんを手招きした。
『なんだよ!』
みっくんは声を出さず口をパクパクさせてあたしに伝えた。
『あれ、見て!!』
あたしも声を出さないように、物音を立てないように教室の中を指差した。
『…げっ』


次の日の同じ時間、あたしとみっくんは教室で彼が来るのを待っていた。電気は付けない。机の下に隠れて息を殺し、緊迫した空気の中、ひっそり待つ。


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