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あたしのYANG KEY
【コメディ 恋愛小説】

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あたしのYANG KEY-6

「去年、普通にホームルームしてたら柳田君が怒鳴りながら教室に入ってきたんだよ。そしたら、いきなり伊藤に殴りかかってさ…。すごかったよ、まじで。コレは大問題だろ?柳田君は、元井が連れてきた他のセンセーにはがい絞めにされて連れていかれた。その後、一回柳田君は戻ってきたんだけど、そん時俺らに向かって叫んだんだ。『こうなりたくなかったら俺に関わんじゃねぇぞ!!』って…」
あたしは頭の中が真っ白になった。意味わかんない…。なんで、みっくんはそんなこと…。
「あんなん目の前で見せられたらビビるって、普通!関わるなって言われたら、話し掛けないでしょ?自分の身が大事だもん。だから柳田君はどんどんクラスから浮いていった。しばらくすると、授業にも出なくなったし、学校もよく休むようになった…」
「まじ…でか?」
みんながこくんと頷く。
…違う、あたしの知ってるみっくんは、そんな奴じゃない。楽しいことが好きで、笑うことが好きで、友達が好きで…。絶対に何かあるんだ。
「わかった…ありがと」
もう、これ以上聞いてもどうしようも無いと思った。この様子じゃ、あたしがどんなに言っても誰もみっくんを信じてくれない。あたしが、その原因を調べたいって言っても誰も手伝ってくれない。こっから先はあたし一人でやってやる、絶対みっくんの誤解を解いちゃる!このあたしが、みっくんと皆の懸け橋になってやるっ!!

…とか何とか威勢のいいこと言っといて、もう一週間経ってんじゃん…。何もわかってねぇよ…はぁー…。伊藤先生との間に何かあんのかと思って、先生のこといろいろ聞きまくってはみたけど、どいつもこいつも「伊藤はいい人だよ」「生徒のこと考えててさぁ」「頼れるよね」だって。これじゃあ、明らかにみっくんが悪いじゃん!そんで当の本人は学校に顔出さないし、もし、いたとしても話し掛けらんないし…。…みっくんのカスバカ!!
そうそう、さっき何もわかんないって言ったけど、あれ取り消しね。一個わかったことがあります。それは…あたしの適応能力!自分で言うのも何だけどさ、この馴染み具合素晴らしすぎる。まるで、入学してからずっと一緒にいるみたい。自分でもたまに、転校してきたこと忘れちゃうもんなぁ。人見知りしない性格に万歳!
そんなある日の昼下がり。あたしは、めぐとホッシーと三人でお喋りをしていた。
「やっぱり二人は付き合ってたんだ!!」
「うん、もうすぐ一年になるかなぁ」
「へぇ〜羨ましいのぅ」
めぐはエヘヘと照れ笑いをした。また可愛いんだよ、その顔がさぁ。
「ねぇねぇ、どっちから告ったの!?」
すると、ホッシーが「俺っす」と手を挙げた。
「二人で飲んでる時に言っちゃえ!って思って…」
「えっ、二人で飲んでる時って!?」
「法的に違法な物を…」
ホッシーが人差し指を唇にあてた。
「私たち、もともと仲良かったの。二人でよく遊んだりもしてたし…!北志の家でいつもみたく語り明かしてた時に、言われちゃった!!」
めぐはまた、嬉しそうに笑った。
「かぁーっ、もうお腹いっぱい胸いっぱいだよ。ごちそうさま」
そんな惚気話を聞かされている時、廊下を熊公が歩いていたような気がした。
「あっ!」
あたしは急いで廊下に顔を出してみたけどもう誰もいなかった。
「ヨリぃ?どうしたのぉ?」
めぐがあたしを呼んだ。
「ううん、何でもない」
あたしはまた二人のところに戻った。
そういえば、転校した日から熊公に会ってないな…。みっくんのことで相談したいこともあるし、今日の放課後、熊公のところに行ってみよーっと!


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