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あたしのYANG KEY
【コメディ 恋愛小説】

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あたしのYANG KEY-5

「何すんの!痛いなぁ…もう…」
「ヨリ、いいか?この学校内で俺には絶対話し掛けんなよ!?」
「はぁ?何でよ?だってあたし、知り合いなんてみっくんと熊公ぐらいしかいないし…」
「とにかく絶対ダメだ!」
「何で?いいじゃん!あたしが知り合いだと何か不満でもあんの!?」
「オメェのためだよ!!」
みっくんが怒鳴った。みっくんの顔があまりにも真剣で、あたしは恐くなってしまい言うことを聞くしかなかった。
「わぁったかっ!?」
「う、うん…」
何それ…大声出してビビらせて、意味わかんない…。みっくん、変わっちゃったのかなぁ…。昔はさ、二人で馬鹿してたじゃんよ…さっきまで前みたく騒いでたじゃんよ…なのに、学校では話し掛けるなってどういうことだよ。あたしは昔みたく一緒に話したり、遊んだりしたいのに…!何それ、何それ、まじありえないし…。
「じゃあな」
「……ん」
みっくんは行ってしまった。振り返ったり笑ってくれたりしないで、前だけ見据えて歩いていった。
あたしだけなのかな…会えて嬉しいと思ってたのって…。
誰もいない廊下にチャイムが鳴り響く。何だろ、この感じ…あぁ、悲しいんだ。そんで、浮かれてた自分が恥ずかしいんだ。あたしは何事もなかったように教室に戻った。さっきまでの楽しい気分は全部、『寂しさ』に変わっていた。


一時間目は自習だった。真面目に自習課題を解いていると、どこからともなく、足音を立てず、気配を消して、クラスの皆々様があたしの机を取り囲んだ。あたしはもはや袋の鼠…。奴等は攻撃を仕掛けた!
先制攻撃から早30分。
「柳田君とどういう関係なの?」
「幼馴染みです…」
「いつから?」
「生まれた時から。家が隣でした…」
「付き合ってたの?」
「だからぁ、さっきも言ったじゃん!小学ん時、みっくん転校しちゃったんだってば!」
ったく、さっきからみっくんとの関係ばっか聞いてくるしよぉ…。
「柳田君の前カノじゃないの?」
「…………」
「ヨリ?聞いてる?」
「んがあああぁぁぁ!!」
あたしは叫びながら、机を叩く。前の方であたしを囲んでいた人はビクッと体が跳ねた。さっきから何回も何回も…。
「だから言ってんでしょうが!みっくんとはた・だ・の、幼馴染みだっつぅの!疑うのもいい加減にしろよ!尋問みたいで気分いいもんじゃねぇぞっ!」
あたしの周りに群がっていたクラスメイト軍団の中から「すみません」と小さく聞こえてくる。
「わかったんならいいけどさぁ。逆にこっちも聞きたいことあんだけど…」
あたしはゆっくり一人一人と目を合わせていく。
「じゃあ、めぐ。ちゃんと答えてね?なんで皆はみっくんを嫌いなの?」
めぐは皆と目配せして、小さい声でこう言った。
「嫌いとかそういうんじゃなく、恐いの」
「恐い?」
まあ、確かに見た目はヤンキーけど…あたしも最初は恐かったし…。でも、実際はそんなんじゃない。
「うん…見た目もあんなだし、目付き恐いし、それに…」
そこでめぐは口をつぐんだ。これ以上いい憎そう。だけど、あたしはそこまで性格いい女じゃねぇのよ。何としてでも話してもらいますよぉ〜?
「それに…何?」
あたしは急かす。めぐはあたしに顔を近付け、小さい声で
「殴ったの、伊藤先生を…」
と言った。
「え?どうして…きっと何か理由でもあんでしょ」
「それがわかんないの…」
めぐは俯いた。もう話したくないという雰囲気だ。すると、めぐの代わりにホッシーが口を開いた。


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