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オーディン
【ファンタジー その他小説】

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オーディン第五話『悩めるオーナー・前編』-2

私が部屋に戻り、一人で頭を抱えていると連絡が入った。当然、“あの客”が帰るという連絡だ。
(迎えにいかなくては!!)
私は走って彼らを迎えに行き、部屋へ案内した。そして土下座をする。
予定通り女性が
「頭を上げてください」
と言い、私は頭をあげる。
しかしその後、予定外の発言を聞く。
「あの黒い車、くれ」
「へ?」
なにしろ突然だった。黒い車…、いくら考えても私の車しか頭に浮かんでこない。
「車ですか?」
「あんたのだろ?店の裏の車、あれをくれ」
なんて冷酷非情な男だ、信じられん!!裏に停めてあるあの車は、ドラゴンの魂が宿ると言われる物だ、“神武”の一種とも言われている。私が大災害前に冒険をして、苦労のすえに手に入れた大切な物。それをよこせだと…
(ぶっ殺す!!)
とはさすがに言えない…、私は賭けをする事を考えた。それも私が百バーセント勝つ賭けを。
「困りました、あれは私がとても愛している車なのです…、どうしてもと言われるなら賭けをしませんか?」
「どんな」
「私と剣技で勝負をしましょう、あなたが勝てばあの車は差し上げます、どうです?」
「分かった」
この賭けに負けるはずがなかった。私は世界をまわって、今まで負けた事が無いのだ。勝ちを確信していた。
しかしその自信が間違いだった。世界には隠れた人材がいるとはよく言ったものだ。私は負けたのだ、百バーセント勝てるはずの賭けに…

次の日も天気が良かった。早めに店の準備をして、私は店の裏へでた。
昨日まであった自慢の黒い車。
今日からそこにはなにもない。


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