女教師ケイの放課後-23
「先生、先生……」
大きな声で呼んでみた。ケイは死んだように眠り込んでいる。
枕元にいって身体を揺すってみる。返事はない。
身体を揺り動かした反動で、かけられていた布団がめくれた。
思わず目を奪われる。
見てはいけないものを見てしまった。
午後からの稽古は予定通り行われた
ジャージに着替えてのランニング。
起伏の激しい山道での走りこみは十分な鍛錬になる。
昼前に起き出してきたケイは平静を装って、先頭を走っている。
その姿は落ち着きがなく、挙動が怪しい。
ケイはしきりに後ろを気にしながら走った。
僕から少し遅れて続く二人組み。
板倉と五月はニヤニヤと笑顔を絶やさない。彼らは入部以前の状態に戻っていた。
振り切るようにとばすケイの後ろをついていく。
その細腰がひどく頼りなく揺れていた。
(了)