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ポーカーフェイスな彼
【幼馴染 恋愛小説】

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ポーカーフェイスな彼-3

「はい」
と言って野中があたしにカフェオレを渡してくれ、ベッドに上がって音楽をかけた。野中は洋楽を聴くようであたしも嫌いじゃないジャンルだった。
……ただ、会話がない…
さっきまで座っていたはずの野中はいつのまにか寝転んでいる。野中に背を向ける格好でベッドにもたれて床に足を伸ばしていたあたしは、見ていないかもしれないのに野中の視線を感じるようで、ドキドキしてきた、その時……
スルっと野中の腕が伸びてきて、あたしの肩を後ろから抱き締めた。
あたしは上ずった声で、『の、野中…??』と反応を待ったのに動く気配がない……あたしが何も言わずにじっとしていると、野中の手が動き、あたしの胸をさすった。
『!?!?』
あたしは驚いて声が出なかった。のをいいことに服の中に手を入れようとしてきたので、さすがにあたしは声を出した。
『ちょっと待って!』
野中の手がピタッと止まり、振り向いたあたしと視線がぶつかる。
『野中、あたしまだしたくない』
「…なんで」
『あたし野中がわからん』「なにが」
制されて少し苛立っているのか野中がいつも以上に無愛想に話す。
ベッドの上であぐらをかいている野中の前に膝立ちのあたしは、下を向いて頭をコツッと野中の胸にあてると、今までためていた不安から涙が出てきた。
野中は気付いたようで体を少し引いてあたしの顔を見ようとしたみたいだが、すぐにあたしの左腕をとって、抱き寄せた。
しばらくその状態で泣き続けたあたしを野中は黙って抱き締めていてくれた。
本当は野中のことだからかける言葉が思いつかなかっただけなのかもしれない…でもあたしは何も言わずにあたしが口を開くのを待っている野中が本当に好きなんだと思った。
だからこそちゃんと話すべきだと思い、あたしは野中から体を離した。
野中はあたしの左腕をつかんだままあたしの目を見ていた。
『野中…つきあってまだ一週間しか経ってないけど、あたしめっちゃ不安。野中の考えてることわからんねん…』
「…うん」
『なんで連絡くれへんの?なんで一緒に帰ってくれへんの?なんでつきあってることかくさなアカンかったん?………………野中、ホンマにあたしのこと好きなん…?』
あたしは思っていたこと全てを一気に野中にぶつけ、一番不安だった野中の気持ちを聞いた時は自然と声が大きくなっていた。
「好きやで」
『………』
「めっちゃ好き」
あたしの目をまっすぐ見て野中はあたしに言い聞かせるように2回も好きだと言ってくれた…
『……ヤリたいから…?』「ちゃうよ、三浦のことが好きや言うてんねん」
『ふぇ……』
あたしはまた涙が流れてきた…せっかく気合い入れて化粧したのに台無しだ…でももうどうでもよかった。あの野中があたしに好きと言ってくれている。普段絶対そんなこと言わないだろうに、野中はあたしを再び抱き寄せながら耳元で、
「野中ってのやめてや…」とぶっきらぼうに言った。あたしはすぐにその言葉の意味を理解して、こくんと頷くとユウヤの背に手を回した。

あの後、質問責めしてわかったんだけど、連絡をくれないのも、つきあっていることを内緒にするのも、一緒に帰ってくれないのも、全部ただ恥ずかしいからってだけらしい……ありえへん!恥ずかしいならそれなりの態度を示せよ!!ホントあのポーカーフェイスには振り回される……でもそんなユウヤがスキでたまらないあたしは、あの言葉を支えにつきあってくんだろなぁ〜〜♪♪
―――好きやで。


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