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ポーカーフェイスな彼
【幼馴染 恋愛小説】

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ポーカーフェイスな彼-2

―不在着信1件―
『野中ッ!!』
それは野中からの着信だった。昨日の夜中に入ったようで、13秒しかコールしていない。
『んなちょびっとの呼び出しで起きるかいッ』
画面に映る野中のケータイ番号に向かってつっこむ。なにか用があったのか…?でも13秒って出てくれんでもえぇわ、的なカンジ??とりあえずあたしはつきあってから初めての野中からの電話にテンションが上がってきた。
『よしッ!』
あたしは気合いを入れて発信ボタンを押した。
2、3回コールした後あたしは今の時間を思い出した…まだ朝の6時過ぎだ…しかも土曜の。
『普通に寝てるな…』
あたしは苦笑しながら電話を切ろうとした…その時、「もしもし」
『!?』
野中が出た。
『あっ、もしもし?』
「もしもし」
『しもしも?』
「……もしもし」
テンションが上がっていたあたしはふざけて言ってみたものの、相手にしてもらえずダダスベリ。
『すいません。あんさぁ昨日電話くれたやんなぁ?』「うん。」
『どしたん?』
あたしはスベったことを一言謝ってから本題に入った。野中は必要以上のことは口に出さないので遠回しに聞かず、ストレートに聞かないとヘソを曲げてしまう。どうしてこんな気難しい男になったんだろうか……そう考えていられるほど野中が黙っていたことにあたしは今気付いた。
『野中?』
「……今日ヒマ?」
『え?ヒマやけど??』
『遊ばへん…?』
おぉっと〜〜あの野中くんからお誘いの電話だったのかぁ〜〜!?
あたしは驚きと喜びでいっぱいの顔を悟られないように平静を装って、
『いいよ。』
と声だけ落ち着かせて答えた。実は心臓がバクバク鳴ってるのに……バクバクってなんか色気なぃな…ドキンドキン☆…いや、どっちゃでもえぇわ。それよりッ『どこで遊ぶん?』
「今から出れる?」
『あぁ〜ちょっとだけ待ってくれたら…』
質問に答えず質問で返した野中は付け足すように言った……
「俺ン家おいで」
あたしは一瞬止まった。
意外にも野中の大胆発言。「んじゃ用意できたら連絡してきて。」
そう言ってあたしの返事も待たずに電話を切った、けどあたしはそんなことどうでもよくて、初めてのデートでしかも憧れだった、お家デートに心を踊らせた。最近あたし達の学校ではお家デートが流行っている。まぁそういうのに新鮮味を感じてるだけなのかもしれないけど…とにかく今からあたしは野中と流行の波に乗るのだ!!
そんなアホなことを思いながらドライヤーで髪を乾かし、ワックスをもみこんでセットし、化粧をちょちょいとして買ったばかりの服を着て、野中に電話した。

――ガチャッ。
ありきたりな音と共にあたしにどうぞ、という手振りをして野中が部屋に通してくれた。
野中の性格からしてごちゃごちゃ物を置いてるような部屋ではないと思っていたが、雑誌やらCDやらカバンやらが床に置きっぱなしにしてあり、勉強机のはずの物の上にはテレビが堂々と座っている……彼女呼ぶんやったらもうちょい片付けとくやろ、普通…あたしは心の中で呆れた。
「麦茶、コーラ、カフェオレ、どれ飲む?」
そんなことはまったく気にしてる様子なく野中が戸口であたしに聞いてきた。
『カフェオレで』
何も言わずに目だけで返事をして野中がキッチンの方へ向かって行った。
野中の家は高そうなマンションでお父さんはどっかの病院の院長だと昔聞いたことがある。
そこそこお金があるらしくよくご両親は旅行に出かけている。
今日も5日間の温泉巡り旅行へ行ったので家には野中1人だった。


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