【花よりも花の如く】-9
自分で自分が怖いくらい。あたし、こんなにされたいの？こんなにあたし、イかされたいの？
『淫乱だなぁ、愛花は』
お兄ちゃんの声が頭の中に蘇る。そんなことない。そんなことないって思うのに。本当はそうなの？
あたし、淫乱なの？もし、そうだとしたら、……あたしがこうなってしまったのは、お兄ちゃんのせい。
お兄ちゃんが、あたしをこんな女にしたのよ。
こんな、あっ……。
先輩の指が、あたしの膣の方に触れた。ホッとすると同時に、服を脱ぐ気配の無い先輩を鏡越しに見てしまう。
先輩は、あたしの視線に気づくと、にっこりと笑って「まだだよ、愛花」って言ったの。
「もっと、愛花の欲情した姿を見てからな」って。
聞いた瞬間、心臓がきゅうっと縮み上がった。
そんなの、嫌。そんなの、……恥ずかしい。
「ひっあっ……」
指が挿し込まれる。先輩はあたしの敏感な部分を探るように、付け根まで挿し込んだ指を、ゆっくりとこね回すようにしてあたしの内側を擦り上げる。
ビクビクと恥ずかしいくらいに興奮して蠢く肉壁が、先輩の指を歓迎するかのようにはしたなく絡み付き、まんべんなく擦り上げられる度に、その隙間から愛液を溢れさせる。
「あっ、そこは……だっ駄目！……」
足の先から脳天まで、痺れるくらいの快感が迸った。思わずビクッと体が跳ねた瞬間、先輩はその場所を執拗に責め立て出す。
「いや、ぁ……そこは駄目です。……ああっ……」
あっという間に、もう何も考えられなくなる。怒濤の如く押し寄せる快感に身を任せ、喘ぎ声を上げることしか出来なくなる。
「っぅんっ……ぁっ……」
苦しげに悶えるように喘ぐあたしに、先輩は「鏡、見てるか、愛花」と目の前に映るあたしに目を向けさせた。
その言葉に前を向くと、鏡に手を付き、腰を先輩に突き出すようにして指を挿し込まれたあたしの姿が見えた。
先輩の挿し込む指が、まるで先輩のモノであるかのように激しく出入りしていて、その度に恍惚として喘いでいるあたしの姿が……。
あっ、ああっ……恥ずかしい。こんな姿を先輩に見られているのが恥ずかしい。
「いやぁ」
顔を背けるあたしを、先輩は薄く笑ったまま見つめていて、鏡の中でふるふると揺れている乳房にもう片方の手を伸ばした。
「あっ……」
触れられた途端、背中が大きく跳ねてしまう。鏡の中で、先輩の大きな手に包み込まれるようにして、あたしの乳房がゆっくりと揉まれていく。
「ああんっ！」
親指が、ピンと突き出すように勃った乳首を弾いた途端、あたしの口から感極まった声が漏れた。
恥ずかしい。
「先輩、……ああっ、駄目、駄目です……ああっ……」
熱い息の下で呻くあたしの言葉を、先輩は完全に無視する。片方の手でクリクリと乳首を弄りながら乳房を揉みしだき、もう片方の手であたしの奥底にまで中指を挿し込んで、少し関節を曲げるようにして膣の中を圧迫しつつ肉壁を擦るように激しく上下させる。
しんと静まりかえった部屋の中に、あたしの淫蕩な喘ぎ声と、たっぷりと潤ったソコへ先輩の指が沈み込む度に、溢れ出る愛液が立てるジュブジュブという卑猥な音が響き渡る。
もう駄目。もう、……あたし、もう立ってられない。
鏡に付いた両手が汗で滑る。もう倒れそう。
「あっ、先輩？！」
顎に先輩の手がかかった。あっと思った時には顔を仰向けにされて、激しく口付けられていた。
後ろから指を挿し込まれたまま無理な体勢で貪られるのが苦しくて、思わず目に涙が浮かんでしまう。
「あっ……んっ、むっ……」
激しく蠢く先輩の舌に、唾液を飲み込むことが出来ない。大部分が口から溢れてしまう。口の端から顎へとかけて、ぬるぬると垂れる涎が恥ずかしい。
けど、ダメ。もうそんなことより、苦しい。開放された途端、ずるりと鏡にへばり付いてしまった。
力無く荒い息を吐いていると、先輩の手が腰を掴んだ。鏡から引き離され、体勢を整えられて、そうして、先輩の指が二本に、……ううん、三本になった。
「ぁっ？！……ひっやっ……やっ、ああっ！」
まるで先輩のモノが本当に入ってるみたいな強い圧迫感と、激しすぎる挿入に、途端に意識が飛びそうになる。
「嫌！駄目、ダメです。ああっ……も、やっ……くるし……いっ、あっ、先輩！いやっ……！」
何度も乱暴に突き上げられ、与えられる快感の激しさに、目から涙が溢れ落ちる。
「乱れるなぁ、愛花……」
激しさを増す動きに、あたしの腰も知らないうちに動いていた。
じゅぼじゅぼと淫らな音を立てて突き上げる先輩の指の動きに合わせ、自ら腰を振り、歓喜に震えていた。