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THE UNARMED
【悲恋 恋愛小説】

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THE UNARMED-2

俺は以前にもこの女に会っている。
一介の傭兵である俺が何故国直属の騎士長殿と面識があるのかと言えば、それは俺が元々ガルシア騎士団に属していたからだった。
ガルシアでは数年に一度、身分等一切関係なしの剣技大会が行われる。
下民の生まれの俺もこの大会へ出場し、その剣の腕を買われて騎士団の一員となった。
下民、しかも元は孤児と言う生まれもあって、騎士団ではある意味で目立っていた。
このレイチェルと言う女は俺の元上司と言うところで、騎士団時代の俺のことを知っている数少ない人物のひとりと言える。
戦に出ては敵将の首を獲り、着実に名を挙げていた俺だが、騎士団の奴等にしてみりゃ面白くないだろう。
俺と親しい人物はひとりとて騎士団の中にはいなかった。

そんなある時騎士団のひとりが俺に突っかかって来た。
くそったれな言葉を浴びせられた俺は思わずかっとなり、そいつと喧嘩沙汰を起こしてしまった。
そう、あくまで喧嘩だったんだ、あれは。
しかし騒ぎを聞き付けた奴等は俺の一方的な暴力と決め付け、これは騎士道精神に反すると言って俺を追いやった。
俺を騎士団から追い出した奴等のひとりに、あのレイチェル・ギルガはいた。
俺を庇おうともせず、ただ冷ややかに俺を見据える奴の瞳を、俺は忘れちゃいない。
俺もそいつを睨め付けて去ったのを、今の今でも覚えている。


――そして今、俺はこうして傭兵団に身を置いていた。
傭兵団での生活は食べるに厳しいながらも、なかなかに自由で楽しいものだった。
あの女に出会うまでは。
出会い――実際この響きほど甘いものではないが――は五月、バージルの戦いであった。

戦争の発端となったレンベルクの戦いから一年と二月が経った。
我等が第三傭兵団――通称ハウンズ傭兵団がバージルに向かった時、戦況はかなり危うく、異教の国ヴァナ=ジャヤの奇襲に俺の付いているガルシア王国軍の態勢は崩れていた。
しかしハウンズ傭兵団の援助のおかげで不利にあった戦況は一転。
二ヵ月の戦闘の末、双方のごたごたがあって結局引き分けに終わるが、レンベルクでは敗北したのだからまだ良い方だったろう。
戦いの結果はな。
幸か不幸かこのバージルの戦いで、俺達は出会ってしまったのだ。
思えば端から奴とは合わなかった。


五月、ガルシア王国東部バージルは土煙に包まれていた。
「ガルム! お前は右に走れ!」
「おうよ、サバーカ! ドグ! てめえは向こうを援助しろ!」
「死なねえとは思うけど、気い付けろよ、ガルムゥ!」
傭兵団長サバーカに指示され、俺は自分の後ろについていた悪友ドグに言う。
ドグの軽い言葉に笑みを浮かべてから、俺は倒れ伏した馬の横で剣を構えている騎士の元へ向かった。
馬に取り付けられた装飾品と甲冑で、そいつがガルシアの騎士長と言うことが分かる。
「退きな!」
馬を駆り、俺はその騎士長と敵との間に割って入る。
衝撃で幾人かの敵が地に倒れるが、俺はそいつ等など気にも留めず、残りの敵を剣で薙ぎ払った。
左手で手綱をしっかりと握り、俺は太身の剣を振るう。
敵は、俺が剣で奴等の得物を叩き落としてやるとすぐに身を翻した。


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