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亜紀
【その他 官能小説】

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亜紀-23

 健介は泳ぎが苦手なので相手が管長補佐であることなどもう頭の中から消えてしまい、ひたすら強く手を握っていた。いよいよ本格的に水が掛かってくるともう管長補佐の手を両手で抱きしめるみたいにして歩いている。これは半端じゃない、婆ぁや若い女の子まで皆此処で滝に打たれる筈だが凄いことだなと思った。それが信心というものの強さなのだろうか。下を向いても目など開けていられない。ただ管長補佐に引っ張られて歩いている。
 水は一旦膝より深くなって又浅くなり、真下に出ると丁度膝くらいの深さになっている。一時は股の辺りまで水が来て、このまま深みに向かって進むのかと恐慌を来しそうになったが、そこからは逆に浅くなって死ぬほど安心した。真下に出るとなるほど水の圧力は強いが体は安定する。横殴りの力ではないから、足を踏ん張ってさえいればなんとかなる。
 握っていた管長補佐の手もどちらからとも無く放した。しかし水の勢いは激しくて目は開けられないし、此処に立つと確かに無心の境地になる。余計なことは頭の中から消えてしまい、澄んだ気持ちになる。こういうのを宗教的体験と言うんだなと思った。雑念を払うと言うよりいつの間にか雑念が無くなって、ただ水の圧力と戦いながら立っている。何か上手く表現出来ないが、崇高な体験をしているような気分になってしまう。

 と、その時健介は性器に妙な感触を覚えた。蛙か何かにパクリと咥えられたような感じがしたのである。仰天したが妙に動くと水の圧力で倒れてしまいそうなので、踏ん張った足はそのまま動かさずに手だけで探ってみると人の頭があった。管長補佐が健介のパンツをいつの間にかずり下ろして性器を口に咥えていたのだ。なんということだ。これは幻覚なのだろうか。どちらにしても悪夢と言うべきことではないか。頭の中でそんなことを考えている内に体の方は反応して、いいように弄ばれている。この激しい水の中でこっちは立っているだけが精一杯なのに、あっちはしゃがんで妙なことをやっている。水の圧力に慣れるとそんなことも出来るようになってしまうのだろうか。驚いている内に管長補佐の実に熟練した技にやられて、健介は思い出すことも出来ないくらい久しぶりに射精した。射精し終わっても尚暫く咥えたまま放さない。

 ようやく放したと思ったら手を握られて引っ張られた。少し滝から離れて目を開けられる所まで来ると、自分のパンツはちゃんと元通りの位置になっている。まさか今のは幻覚や錯覚では無かっただろうなと思って管長補佐を見ると、水色の薄衣が水でペタリと体に貼り付き、乳首も恥毛も全く透けて丸見えだった。付けているに違いないと思った下着を付けていないのである。濡れれば透けてしまう普通の下着すら穿いていない。だから水にぬれた薄衣で覆われた管長補佐の股間は丸見えである。いや、濡れた薄衣が密着しているそこは、丸見えよりも余計いやらしく見えた。
健介の視線に気付いた管長補佐がにんまりと笑っている。股間を見られている恥ずかしさなどみじんもない。怪しく蠱惑している満足感をたたえた笑みとしか思えない。股間も胸も隠そうとはせず、手で小屋に戻ろうという仕草をした。まだ滝に近いから水音がうるさくて、余程大声を出さないと話は出来ないのだ。漸く小屋に戻ると滝音も少し遠のいて話が出来る。

 「最長記録だわ」
 「何がですか?」
 「発射するまでの時間よ」
 「は?」
 やはり幻覚では無かったのだ。それにしてもなんということだ。
 「今までにも経験があるんですか?」
 「まだ小野田ちゃんで10人目よ」
 「10人?」
 「私って強いからあそこで1回出して置いて貰わないと満足しないのよね」
 「管長はご存じなんですか?」
 「さあ、どうかしら。あの人は知っていても別になんとも言わないだろうけど」
 「はあ」
 「さあ今度は小屋の中でやりましょう」
 「いやもう出ませんよ」
 「大丈夫よ、私に任せなさい。そこに寝て」

 健介はもう今更拒む気もなくなって好きにしてくれという心境だった。それにしてもこの教団は腐っている。尤も教祖が若くて可愛い女性信者に手を出すというのは、名の通った大きな教団でも良くあることらしい。宗教なんてそんなものだ。


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