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[有害図書]
【鬼畜 官能小説】

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[有害図書・前編]-5

当時、女子高生の間ではルーズソックスが流行っていた。
パンティが見えそうなくらい短いスカートを穿き、生足を晒し、ルーズソックスを履いた女子高生に愛は憧れを抱いていた。
ミニスカートとルーズソックスのコンビネーションは脚を長く見せていたし、惜しげもなく生足を晒せる〈自信〉というものが愛は欲しかった。

しかし、世の大人達はそうではなかった。
特に保護者や教育関係者は、強烈な嫌悪を示していた。
愛の通う中学校も例に漏れず、スカートの長さを厳密に決め、ソックスは短めの白か紺色しか認めないという校則を作った。
そして生足も許さないとばかりに、冬季には肌色か黒のストッキングの着用を義務づけた。

だが、さすがにオシャレには貪欲な女の子達である。

紺色のソックスを履くと足首が細く見えるという情報を得た誰かの情報は、瞬く間に全校生徒に広まっていった。
愛の通う中学校の女子達は、皆が皆、紺色に近い明るめな黒のストッキングを選んで履くようになっていた。
ストッキングの色一つで足首のコンプレックスが解消するのなら、選択しないという選択肢は有り得ないのだ。


「ちょっと、お姉ちゃん待ってよぉ!」


また煩い声が追いかけてきた……振り返らずとも判る、この子猫のようなアニメ声は妹の亜季のもの……愛は無視を決め込み、距離が縮まらないよう歩みを早めて進む……。


「ねえ、お姉ちゃん待って!待ってってばあ!」

「ついて来ないで、この道は私が見つけたの。
勝手に入ってこないで!」


道幅も狭く、人も車も殆ど通らないこの道は、愛の妄想を膨らませるには好都合な道と言えた。
例えニヤケても誰にも見られたりしないし、独り言を呟いても誰にも聞かれる心配もない。
公道でありながら私的な空間に思えるこの道に、邪魔くさい妹が入ってきた事が腹立たしく思えていたのだ。


(……全く…煩いったらないわ……)


愛は一度も振り返らないままに裏道を抜け、大通りを通って校門を潜る。
鳴り響くチャイムの音は姉妹を切り離し、それぞれの教室に押し込めた……。




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