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「そのチョコを食べ終わる頃には」
【寝とり/寝取られ 官能小説】

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『第3章 そのチョコを食べ終わる頃には』-9

 沖田ははあはあと荒い息をしながら倒れ込み、その肌を私の火照った身体に重ね合わせた。
 二人の身体はその全身が汗にまみれていた。私は沖田の背中に腕を回し、思わず抱きしめた。

 長い間二人はそのままじっとしていた。
 やがて息が落ち着くと、沖田はゆっくりと顔を上げて、そっと唇を重ねてきた。
 私の中で激しく暴れていたものがゆっくりと抜き去られた時、私は言うに言われぬ孤独感に襲われた。重なり合い、繋がり合っていたこの人の身体が離れた瞬間、肌は温かさを失い、私はベッドの上にたった一人で孤立し、取り残されているような感覚に囚われていた。
「沖田先生……」
 私は怯えたように震える小さな声で言った。
 ベッドの横で脱いだローブを拾い上げた沖田は振り向いて微笑んだ。
「ん?」
「ごめんなさい、もうちょっと横にいて……」
「でも、汗をかいてて気持ち悪いだろう? 先にシャワーを浴びておいでよ」
 沖田はベッドの縁に腰掛け、優しくそう言って、汗で濡れ、頬に張り付いていた私の髪を掻き上げた。
 私は身体を起こし、言った。
「じゃ、じゃあ、一緒にバスルームに……」
 沖田は切なそうな目で微笑み、小さく頷いた。

 バスルームでも二人はほとんど何も話さなかった。
 ただ黙ったまま、沖田はシャワーを浴びている私の背後に立ち、背中や腰をボディーソープの泡のついた手でさすってくれていた。
 沖田自身が自分の身体、特にさっきまで私の中に深く埋め込まれていたものを丁寧に洗っている時、私は抱いていた孤独感に耐えかね、くるりと振り向くと出し抜けに彼の身体を抱きしめた。
 あっ、と不意を突かれて思わず小さく叫んだ沖田は、すぐに私の背中に腕を回した。そしてシャワーの中で二人はまた貪るようなキスを交わした。

 焦ったように私は沖田の身体をベッドに押し倒して、その身体を自分の全身で押さえつけながら唇の自由を奪った。何度も顔を交差させて重ね直し、舌を差し込み、彼のそれにまつわりつかせた。
 私はその時、まるで理性や罪悪感のスイッチが切れてしまったように、ベッドの上の男性のカラダを求めていた。
 再び力を取り戻した彼の武器に手を掛け、私は躊躇わずそれを咥え込んだ。そしてじゅぶじゅぶといういやらしい音を立てながら喉の奥まで咥え込み、出し入れした。その度に沖田はびくんびくんと身体を仰け反らせて喘いだ。
 しばらくして今度は私が仰向けにされ、沖田はその最も大切で敏感な部分に口を這わせ始めた。舌先で硬くなった粒を何度も舐め上げられ、私はすでに上り詰めそうになっていた。
「きて! 挿れて!」
 自分でもびっくりするぐらい大声を出した私は、懇願するように両手を伸ばした。
 沖田は私の両脚を大きく抱え込み、私の唾液でてらてらと光っているその武器を、すでに潤いを取り戻していた谷間に狙いをつけて挿入させた。それは一気に身体の奥深くに達し、私は思わずああ、と甘い喘ぎ声を上げて顎を上げた。
 私と沖田は繋がり合ったまま上半身を起こして抱き合い、腰を大きく揺らしながらまた貪欲に唇を重ね合った。すでに二人の全身に汗が光っていた。
 キスをしたまま、急速に身体中の温度が上がっていき、口を離した沖田が思わずイく、と呻いた瞬間、私も一緒に上り詰めた。シーツに後ろ向きに倒れ込んだ私にのしかかって、沖田は私の身体を強く抱きしめ、二人は唇同士を思い切り押しつけ合ったまま弾けた。
 どくどくっ!
 再び私の身体の最深部に、沖田の生温かい精液がその腰の脈動に合わせて勢いよく放たれ続けた。
 んんんーっ!
 沖田は私と唇を重ね合わせたまま、同じように喉で大きくうめき声を上げた。私の身体はぶるぶると大きく痙攣し、いつまでもその震えを止めることができなかった――。

 私は液晶テレビの横にあったそのホテルのロゴの入ったメモ用紙に走り書きしたものを、服を着直し、壁に掛かったコートに手を掛けた沖田に無言で差し出した。
『お互いの家庭を犠牲にしない。本気にならない。決して第三者に口外しない』
 沖田はそれを受け取り一読すると、すぐに顔を上げて私の目を見ながら微笑んだ。
「わかってる。約束する」
 沖田はそのメモを二つ折りにして、上着のポケットに入れた。


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