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「そのチョコを食べ終わる頃には」
【寝とり/寝取られ 官能小説】

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『第2章 その秘密の出来事は』-22

 ケネスは本題をいつ、どういうタイミングで話そうかとずっと考えていた。
「こっちに秋月家がおるっちゅうことも関係あったんか? 転居の」
「ああ、叔母さんですね。まあ、親戚がいるってことも多少は……」
 口ごもった剛の様子を見て、出してはいけない話題だったか、とケネスは思った。
「引っ越すっちゅうことは剛くんの考えやったんか?」
「決断したのは俺です」
「利恵さんはあっちで教員試験は受けんかったんか?」
「利恵の実家がこの県の北部の田舎なので、転居の話、最初は利恵の方から。それに息子の遙生のことも考えて」
「それは正解やな。ケネスは胸を張った。ここK市の福祉のレベルは高いからな。子育てしやすい町っちゅう評判が高うて、児童福祉に関しても近隣の市町村の中でも群を抜く手厚さや。お陰で出生率も高いしな」
「はい、それが一番の理由でしたね」
「その福祉水準をキープして、充実させとる張本人やんか、剛くん」
「ありがとうございます。励みになります」
「今は何の仕事しとるんやったか?」
「地域活動部の地域福祉課長をやってます。もう五年になりますね」
「これからどんどん出世していくんやな。楽しみや。遙生も立派になりよったし」
「まだ中二ですよ。ひ弱なくせに剣道は続けてますけどね」
「剣道の素質があるんやろ、彼には」
 ケネスは言葉を切ってコーヒーカップを持ち上げ、上目遣いで剛を見た。
 剛は、そんなケネスの様子を見て、何かにひらめいたようににっこり笑った。
「わかった!」
 カップを持ったままケネスは手を止め、上目遣いで剛を見た。「え?」
「ケニーさんが俺を呼び出した理由がわかりましたよ」
「な、なんやの、急に」
「俺もこれ以上ごまかすの、めんどくさいので本題に入りましょうよ」
「な、何のこと言うてんのや?」
 ケネスは珍しく動揺し始めた。
「その息子の遙生のことでしょ?」剛はニヤニヤ笑っている。「すでに知ってますよ。何もかも」
「何もかも?」
「俺が遙生の本当の父親じゃないってこと」
 ケネスは思わず椅子から立ち上がった。「な、なんやて?」
「利恵がこの町に住む決心をしたのは、遙生の本当の父親が住んでいるから。今思えばそうだったんですよね」
「剛くん、し、知ってたんか……」
「すみません、期待を裏切っちゃって」
「なんや、とんだ取り越し苦労やったわ」
 ケネスは椅子に座り直して、コーヒーをすすった。
「今から三年前でしたっけか、俺はこっちの海晴さんに電話したんです」
「秋月の海晴ちゃんか?」
「そうです。遙生が生まれた日が、俺と利恵との最後の交わりからいくら計算しても符合しない。そのことに気づいたのが三年前。前の年に娘が生まれたのがきっかけでした」
「それで海晴ちゃんに?」
「はい。利恵が妊娠した時期と教育実習の時期が重なっているので」
「で、海晴ちゃんには何て訊いたんや?」
「利恵と一緒に教育実習で来ていた体育専攻の剣持という大学生を俺は真っ先に疑いました。それで彼が丁度職場体験学習の打ち合わせで事務所に来た時に、それとなく水を向けてみました」
「体験学習の打ち合わせ?」
「はい。彼は今、鈴掛南中の現役教師なんです」
「ほう、それで?」
「まあ、当然彼からそういう怪しい情報は一つも得られませんでした。無理もないですね、彼はシロなんだし」
「ま、そうやろな。ほんで?」
「でも俺はもう利恵を妊娠させたのはこいつに違いないと思い込んでいたので、実習の時の様子を他の誰かに訊くことにしたんです。だから海晴ちゃんに電話を」
「そやかて、海晴ちゃんは訊かれても何とも答えられへんやろ。すでに社会人だったわけやし」
「その通りです。ですから海晴ちゃんには当時その高校に通っていた彼女の弟にその時の様子を訊いてもらったんです。情報が何か掴めるんじゃないか、と思って」
「遼くんやな?」
「はい」
「そやけど、まさかそのいとこの遼くんが利恵先生を孕ませたとは思わなんだやろ」
「まったくです。でもね、そのことがほぼ間違いないとわかった時、俺はほっとしました。剣持さんがその相手じゃなかったことに」
「そうは言うても、剛くん以外のオトコが利恵さんを妊娠させたのは事実やんか」
「俺は利恵のその時の気持ちが理解できたんです。そして赦すことも」
「赦す?」
「彼女なりの考えた末の結論だったのでしょう。俺との子が産めないなら、せめて少しでも同じ血の流れている男性の子をもうけようと思ったんだと思います。怪我してすぐの俺が今のように歩けるようになるという確証はなかったわけだし」
「なるほどな……」


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