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ティンクティンク
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ティンクティンク-1

「妖精なんかいない!」
そう思うと一人妖精がポトリと死んでしまう。
昔読んだ童話に書いてあった。
朝、目を開くと妖精が枕元に倒れていた。
「そんなバカな……」
思わず洩らすとピクピクと痙攣しだした。
「…おねがい…妖精はいると…言っ…」
苦しそうに懇願する。
確かに本でも妖精の活力は信じてあげる力。
「妖精は実在する!」
情にほだされて僕は呟く。
「まだ…足りないわ」

仕方なく
「妖精は僕の目の前にいて確かに生きている。」
と言ってみた。
生気を取り戻したのか起き上がり僕の方を見た。
「ありがとう。おかげで死なずにすんだわ。

嬉しそうな彼女の笑顔で報われた気がした。
妖精の彼女はペリプリと言う名前らしい。
夢の世界を行き来しているうちに僕の浅い眠りが見せる不確定な夢の中に入って、その世界から墜落してしまい枕元に倒れていたようだ。
ペリプリは羽をパタパタとさせながら、飲みかけのお茶が入った湯呑みに顔を突っ込んでゴクゴクと飲みだした。
よっぽど喉が乾いていたのだろう。
「あまり美味しくないわね。」
と顔をしかめながら僕の肩にとまった。
「あなたは命の恩人だから、ひとつプレゼントをあげるわ。」
といい頬にキスしてくれた。
これは人の夢を見れるおまじないだそうだ。
彼女は一つ忠告してまた来ると言って消えた。
忠告とは夢は魔物だということ。
特に人の夢は危険だから迂闊に入らない方がいいと言う。(ペリプリのように落下して死にかけるからだろうか。)
ネバーランドも夢と現実に在ると本には書いてあった。

学校にいく。
今日はテストが返ってくる日だった。
15点。
やっぱり僕はこんなもんかとため息をつく。
隣の席の佐々木に夢は見るか。と聞いてみた。
「もちろん見るわよ。
今朝はステキな夢だったわ。」
と返答が返ってきた。
先生がこっちを睨み付けてきたので、
ノートの端に
「今夜は佐々木の夢におれが出てくるかもよ!」
と書いて見せた。

夜、ペリプリのおまじないを思い出して眠りにつく。
夢を見たい人の事、そしてその夢に入れるって強く念じなさい。とペリプリは言っていた。
「佐々木の夢が見れますように。」
眠りについた。

一面ヒマワリが咲く花畑が広がった。
佐々木はベンチに座ってボンヤリと眺めていた。
丘のベンチまで駈けていって佐々木の後ろ側に廻りこんで
「言った通り来たぜ。」
と驚かしてみた。

佐々木は本当に分かりやすいリアクションで口をパクパクさせながら
「本当に来たんだ。」
と少し呆れ気味だった。

「きれいなヒマワリだね。」と景色を愉しんで地面に寝っころがった。
夢の中でも寝れるのかな?と疑問が過ったが、しばらくのんびりとしていた。
急に世界が歪む。
きっと佐々木が夢から目を醒ます時間なんだろう。
自分の夢からはオートに戻るのだけど、人の夢から戻る時は夢の世界が消え切らないうちに、
戻れ!と念じないといけないそうだ。
「自分の夢に戻れ!」
強く念じて目を閉じる。


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