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美雪
【学園物 官能小説】

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美雪-22

 哲治は今日も中野で優花とデートした。哲治の家は中野の南口であり、デートするのはいつも北口である。北口の方が賑やかで喫茶店なども多いからだが、電車に乗って新宿や池袋に行かないのは哲治が方向音痴の為に慣れない所に行きたがらないからである。中野の北口にはブロードウェイと名付けられた商店街があるが、駅の反対側の南側にいる住人はあまり北口には行かない。ガードをくぐって駅の反対側に行くよりも電車に乗れば僅か5分かそこらで新宿に着いてしまうからである。地元の小さな商店街に行くよりも新宿に行けば何でもある。だから哲治は地元とは言っても北口でのデートは知った人に見られないという安心感がある。ブロードウェイにある洒落たレストランで優花と食事してからいつものようにホテルに入った。
 「哲治君、大学に受かったらうちに来てくれる?」
 「いいけど何で?」
 「お父さんに紹介したいから」
 「何で?」
 「何でって、付き合ってる友達がいたらうちに連れてきなさいっていつも言われてるから」
 「ふーん。いいけど何か厭だな」
 「何が?」
 「何か面接試験を受けるみたいで」
 「だって、いずれはそういうことをしなければいけないのよ」
 「そりゃまあ就職の時は面接試験があるんだろうなあ」
 「そうじゃなくて、いずれは私のお父さんに会わなければいけないっていうこと」
 「ん?」
 「結婚するんじゃなかったの?」
 「ああ。それはまあ、いつかは結婚したいと思っている」
 「いつかは? いつかは誰かと結婚するって言うの?」
 「だから優花と」
 「だったら、いつかは私のお父さんに会わなければならない訳でしょ?」
 「まあ、そうだけど」
 「就職してから突然結婚しますなんていうよりも、大学生の頃から付き合ってるっていうことを知らせといた方がいいと思わない?」
 「それはまあ、そうだな」
 「ね? だから」
 「だから?」
 「だから大学に入ったらうちに来なさい」
 「ああ」
 「気が進まない返事なのね」
 「何かプレッシャーになるな。そんなことだといい大学に入らないといけなくなるじゃないか」
 「そんなことない。大学なんて何処だっていいのよ」
 「そうか? 優花の親父さんもそう言ってくれるかな」
 「言うわ。私のお父さんなんて学歴なんか無いんだから」
 「そういう人は逆に学歴をありがたがるんじゃないか?」
 「うちのお父さんはそういう人じゃないの。お兄ちゃんだって折角大学入ったのに中退してフリーターやってるわ」
 「それで親父さん何も言わないの?」
 「何も言わない。パソコンを夢中になってやってるんだけど、そういう夢中になれるものがあればそれでいいんだって言ってるわ」
 「そうか。そういう親なら少しは気が楽になるな」
 「要するにお父さんは私が選んだ男なら誰でもいいんだから、心配なんかしなくていいの」
 「へえ」
 「分かった?」
 「でも何で俺なの?」
 「何が?」
 「優花は何で俺を選んだの?」
 「何言ってるの今更。もっと自分に自信を持ちなさい」
 「いや、ただ理由を聞きたいと思って」
 「私が哲治君を選んだのは哲治君を好きになったから」
 「それは分かってるけど、何で俺のこと好きになったの?」
 「さあ、そういうのは理屈じゃないから分からない。ただのフィーリングよ」
 「フィーリング?」
 「それじゃ哲治君は何で私のことが好きなの? 美人だから? スタイルがいいから? お金持ってるから?」
 「ただのフィーリングだよ」
 「真似して」
 「真似してる訳じゃないけど、気が付いたら好きになってたんだ」
 「でしょう? 人を好きになるってそういうもんなのよ」
 「ああ」
 「今日はね、ちょっと帰りが遅くなってもいいの。セックスした後二人で暫く眠ってから帰ろう」
 「眠れるかな」
 「眠たくないの?」
 「いや。いっつも眠いよ、俺は。だけど優花と抱き合ってたら眠れないんじゃないのかな」
 「眠れなければ抱き合ってるだけでもいいじゃない」
 「それはそうだな」
 結局若い二人はキャッキャッとふざけたりセックスに励んだりを繰り返して眠らなかった。しかしいつもよりずっと長い時間一緒に抱き合っていたのだから楽しかった。帰ったら哲治は深夜放送を聞きながら朝方近くまで勉強しようと思った。少しでもいい大学に受かりたいと思うし、優花と一緒に過ごす時間は楽しいばかりで疲れないのだ。


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