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紅館の花達
【ファンタジー 官能小説】

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紅館の花達〜蒼猫花〜-2

馬車はある館に着いた。
ここは男の館。
赤い建物に入り、さらに奥の渡り廊下を渡って白い建物に入った。
『アルネ、ゼロは暫く私の部屋で住むから。』
男は部屋に入ると猫をフカフカのベットの上に乗せた。
『ようこそ、紅館へ。』
男はまた猫を撫でた。
『私はウェザ、君はゼロ。
わかる?』
猫には男が何を言っているのかわからない。 でも、男の口を真似してみた。
『んぇ……じゃ………え………お………』
『ウェザと、ゼロ。』
『うえ………じゃ………じぇ………お………?』
猫は名前を貰った。 そして猫の世界で、自分はゼロ、そして男はウェザになった。
上手く発音出来ないが、それでもウェザは嬉しそうに笑った。
それがゼロにも嬉しくて、一緒になって笑った。

それから数日、ゼロはいろいろと言葉を覚えた。
『ジェロ………おなか………へた………』
『お腹減った、だよ。』
食事もウェザの部屋で食べた。 今日は何やら見たこともない食べ物。
『カルボナーラ、というんだよ。』
『カウボニャーア?』
それは口に入れると濃厚な味がした。
ゼロが今まで味わったことの無い濃厚な味が。
『んんんにゃぁぁぁ♪』
ゼロはそれを一気に食べた、そのさいはよつんばいで皿に口を付けて食べる。
グチャグチャと音がして、皿から溢れてテーブルが汚れた。
ウェザの隣に居るエルフが困った顔をしてその様子を見ていた。
『まずは言葉だよ、アルネ。
マナーはその後で良い。』
ウェザはそう言って、口の回りを汚したゼロの頭を撫でて口を拭いてくれた。
『ウェ………ザ………』
『! アルネ、聞いたかい!? ゼロが私の名前をちゃんと言ったよ♪』
途端にゼロはウェザに抱きかかえられて猛烈に撫でられた。
『う、うにゃぁ〜〜〜』
『ゼロ、今度はゼロって言ってみて。』
ウェザに言われるままにゼロは自分の名前を発音する。
『ジェロ?』
『ゼロ。』
『ゼロゼロ?』
『そう! 良く出来るじゃないか♪』
ゼロはまた猛烈に撫でられて、いい加減ハゲてしまう気がした。
『ゼロゼロ〜』
『ん、一回で良いんだよ。』
『…………ゼロゼロゼロゼロゼロゼロゼロゼロゼロゼロ!』
『わ、わかった………ゼロゼロで良いよ。』
ニパーッと笑って、ウェザのマントにくるまる。



それから数日後、ウェザはゼロに服を用意した。
今までは軽く布を巻いただけだったが、生活するためにはちゃんと服を着なければならない。
ウェザが用意したのは、ゼロの髪色と同じ青いワンピースだった。
『うん、似合ってるよ、ゼロ♪』
アルネに着替えさせて貰ったが、どうもゼロは服が嫌いだった。
体を締め付けられているようなのだ。
ウェザは微笑んでいるが、ゼロはあまりにも嫌でつい服を脱ごうと身をよじって、ついには服を破き始めた。
『ゼ、ゼロ!』
『いやぁぁ!!』
ビリビリとワンピースが布切れに変わっていく………
その様子をウェザとアルネは呆然と見ているしかなかった。
『ニャハ♪ ニャフフ♪』
ゼロはだんだん服を破るのが楽しくなってきて、すでに裸になったのだがまだ服を破いていた。
だが、ふとウェザを見て動きが止まる。
ウェザはとても悲しい目で服を見ていたからだ。


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