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脅迫文=恋文?
【コメディ 恋愛小説】

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真夏の夜=2人っきりの夜(前編)-3

「……わかったよ。白雪の水着姿、見たかったけど仕方ない」
…………。
「見たいのか?」
「見たいけど」
端から見れば珍妙な会話だが、アタシは本気だ。
「外に出たくないんなら、仕方ない。早く着替えてこいよ」
そう言って、憲はテレビをつけた。おぉ、やっぱり舞阪町とはやってる番組が違うな。って、注目する所が違うな。
「憲、泳ぎに行かないのか?」
「白雪が行かないのに、俺が行ける訳ないだろう。それにな、俺だけじゃ、アイツ等バカップル共の相手なんざ出来ん」
確かに、アタシだって一人であの二組の相手はごめんだ。
「……行けばいいのに」
「俺は、アイツ等と遊ぶよりお前と2人っきり、っていうシチュエーションを選ぶぞ」
そりゃあ、アタシだって、こんな状況になったら……憲と2人っきりの方が、良い。
「なぁ、憲」
「うん?」
立ち上がって、アタシは憲を見下ろしながら呼んだ。
テレビから目を離して、憲がアタシを見上げる。
「……アタシの水着姿、見たいって言ってくれたよな?」
「言ったけど……って白雪、なにしてんの?」
憲の返答を聞いて、アタシは即座に決心した。 Tシャツに手をかけて、脱ぐ。
呆然とする憲の目には、水着姿のアタシが映ってるはずだ。その憲が、おもむろに口を開いた。
「………白雪。室内の水着ってさ」
「何だ?」
「……下着っぽくないか?こう、ほのかなエロさが漂ってるつーか」
え………?
「フリルが付いてるから尚更、なんかそう見える」
そう言って、憲はアタシの腰に手を回して抱き寄せた。もちろん、アタシは慌てたさ。でも、拒絶はしなかった。嫌じゃ……なかったから。
「それに、ビキニだしな。いつも青の下着つけてるし」
「憲、そこまで暴露するな!!……ん」
憲の返答は唇で返ってきた。
アタシの、おへその辺りに憲は唇を這わせる。いくら何でも、そこまでは想像してなかった。
「憲、やめっ……んんっ」
今度はアタシの唇をふさぐ。憲の舌がアタシの口の中を這いずりまわった。
長く、深く、甘いキスだった。
その時だった。アタシ達がいるリビングの外、つまりは廊下から音が聞こえてきたのは。びっくりして二人でそっちを見ると、何故か開いていたドアの向こうに愛里と高坂がいた。
「「……………」」
「いやあ、お熱いことで」
「あ、アタシ達、日焼け止め忘れちゃって。取りに来たら、その………お邪魔しました!!」
そう言って、二人は玄関へと消えた。
リビングには気まずい顔をした憲と、羞恥心で真っ赤になったアタシが残された。


真夜中の海は、寒気がするくらい暗かった。一度入ったら、もう帰ってこれなさそうだ。
現在、午前1時32分。
アタシは家から少し離れた廃船の影に座っていた。月明かりが海に反射してるけど、かえって海の暗さを強調してる。
結局あの後、アタシは更に引きこもった。原因である憲は一生懸命、頭を下げてたけど、許してやんなかった。


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