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「史乃」〜それから〜
【父娘相姦 官能小説】

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第三話-15

 午前十一時──。銀行に到着した寿明は、早々に奥の相談室へと通され、副支店長に事情を説明した。
 副支店は直ちに決算を切り、即日の融資を約束してくれたが、但し、寿明の要望に沿うのは一両日は掛かるらしく、翌日に準備完了次第、現金を引き取る事で、お互いが了承した。

「これで、一つ目はクリアしたな。」

 意気揚々と銀行の駐車場へ向かう寿明の元に、山本から連絡が入った。

「先生。そちらは如何ですか?」

 山本の問いかけに寿明は、万事上手くいった事を伝えると、

 「──もうすぐ昼だし、何処かで落ち合って飯でもどうかな?」

 そう言って、山本をランチに誘った。
 しかし、山本は、そんな言葉を一蹴する。

 「ありがたいのですが、お断りします。未だ、準備の途中ですし、午後から必要な物を取り揃えにまいりませんと。」

 慎重さを欠いた態度だと嗜(たしな)められたようで、寿明は自分の浅計さを悔いた。

 「すまなかった。君に自重するよう言われておきながら。少し軽薄過ぎたな。」
 「いえ。私も少し言葉が過ぎましたわ。それで先生、一つ頼まれて頂きたいのですが──。」

 山本は、そう前置きした後、寿明に今後の事で“ある”依頼をする。その内容の危うさに寿明は当初、躊躇ったが、最終的には依頼を請ける事にした。

 「──それでは、宜しくお願いしますね。」

 夕方に寿明の自宅を訪れる事を山本は伝え、通話は切られた。

 「熱でうかれていた私に、冷水をぶっかけて正気に戻してくれた。本当に彼女には、感謝以外の言葉が見つからないな。」

 深い自戒の念が込み上げる──。他人の山本が、どれだけの思いで事に当たっているのかを忘れ、父親である筈の自分は、既に、上首尾のごとく捉えてしまい、気を緩めていた。
 寿明は、上着の内ポケットからスマホを取り出すと、山本に教わった位置情報を知らせるアプリを立ち上げた。
 今の自分に出来る事を、やろうと思ったのだ。

 「──今のところ、動きはないようだな。」

 今日中に金城から連絡が来る。拉致された車の位置確認は勿論、上手く行けば、潜伏先まで明らかに出来るかも知れない。

 (山本君と合流するまでの間、私の役割はこれと後一つ……。)

 寿明は強い決意を胸に、車へ乗り込むと、元来た自宅までの道程を帰って行った。





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