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満里子
【フェチ/マニア 官能小説】

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満里子-4

 「それが僕の好きそうな服か」
 「好きでしょう? こういうの」
 「それは好きだな。だけどそれじゃ外に行けない」
 「どうして? 何処か行くつもりだったの?」
 「食事とか飲みにとか」
 「食事なら作ってある」
 「ほう。しかしその後飲みに行きたいな」
 「いいわよ」
 「その網タイツ姿でか?」
 「何かに着替えるわよ」
 「すると時間がなくなる」
 「何で?」
 「何を着るか決めるまでに満里子は半日も掛かるじゃないか」
 「ま、失礼ね。そんなに掛からないわ」
 「かかるさ」
 「いいわ。さっきまで着てた服を着るから」
 「さっきまで着てた服って?」
 「こんな格好で誰か来たら困るから上に着ていたのよ」
 「だからどの服を?」
 「後で着るから分かる」
 「それもそうだな。時間が掛からないんなら何でもいい」
 「時間なんか掛からない。上からかぶるだけだから」

 二人で食事してさて出かけるから服を着ろよ、ということになった。自分の着ていく服は決まっているからなのか、満里子は優輝の着ていく服をあれこれ選んでいる。既に優輝は毎週末を満里子のところで過ごすようになっており、半同棲とも言うべき状態だった。従って、優輝の服も相当数あるのである。尤も自分の家から持ってきた服というのは仕事着がいくつかあるだけで、他は全部二人で一緒に買い物した服ばかりだから優輝がもともと持っていた服とはかなり趣味が異なる。仕事には着ていけないような派手な服ばかりである。そういう派手なスーツに色や柄の無い真っ白なワイシャツを合わせて着るのが満里子の好みで、ワイシャツについてはまともである。しかしワイシャツには同色の白糸で刺繍がしてあり、普通のものでは無い。近くから見ればかなり高価な物であることは分かる。まあ遠くから見れば普通のワイシャツに見えるだろう。スーツはくすんだオリーブ色で一見渋く見えるが、これが着てみると非常に派手に見えるのである。ネクタイは黄色に黒や赤の小さな模様が散りばめられたグッチのネクタイで、これも地味なように見えてそうでない。まるで水商売か芸能人にでもなってしまったみたいな優輝だが、満里子がいそいそと着せるのだから文句も言えない。いや、ちょっと派手だなと思うだけで、優輝は自分の服装などはどうでもいいのである。本当を言えば夜自宅から飲みに出かける時なんて普段着のまま行きたいという方なのだ。
 「ほら、僕のことはもういいから、自分の支度をしろよ」
 「そう?」
 「何それ? 冷えるから?」
 「冷えるからって何が?」
 「だから腹が」
 満里子がタンスから出して今身につけようとしているのが腹巻きに見えたから優輝はそう聞いたのだった。勿論無粋な腹巻きとはかなり趣が違って、光沢を放っていたが、良く見るとゴムなのだった。しかし形は腹巻きである。
 「馬鹿ね。私が腹巻きなんかする訳無いじゃない」
 「て言うとそれはガードルか何か?」
 「ガードル?」
 「あ、間違えた。コルセットと言うのか。つまり腹を締めるというか、整形するというか」
 「何言ってるの。これは服なの」
 「え?」
 さっきは上からかぶるだけだと言っていたが、満里子はスカートを穿くように下からそれに両足を通してずり上げた。尻の膨らみに引っかかって巧い具合にそこから上にはずり上がらない。ゴムだからビョーンと伸びて、腹巻きのように小さく見えた物が乳房の上端まで届いた。しかし上も下も出過ぎている。これでは服に見えないと言おうとしたが、服装に関して何か言っても満里子は聞く耳持たないから優輝は何も言わなかった。
 露出し過ぎて恥ずかしい思いをするのは満里子なのだし、本人がそれでいいならいいと思った。満里子は時々こういう風に、驚く程セクシーな服装をする。露出狂の気があるのかも知れないが、やたらに見せたがるというのとはちょっと違うようにも思える。それが彼女のセンスなのだろう。


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