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満里子
【フェチ/マニア 官能小説】

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満里子-17

 「ああ、戻ってくれたぁ。死ぬほど心配した」
 「ふん。オムツと貞操帯までさせといてまだ心配してたのか」
 「だって愛してるんだもの」
 「愛していたらこういうことはしないで信頼するものなんだ」
 「心細くて死にそうだった。目が潤んでいるでしょ。涙が出かかってたのよ」
 「目が潤んでるのは近視だからいつものことじゃないか」
 「そうじゃなくて本当に気が遠くなって死にそうな気がしたんだから」
 「死んでも離れないんだから幽霊になって取り憑くんだろ? それは縛ってバイブを突っ込むよりも抑止力がありそうだ」
 「それでどうだったの?」
 「おしっこもウンコも何とか我慢したよ」
 「そうじゃなくて話し合いのことよ」
 「それよりまずこれを脱がせてくれよ」
 「あ、そうか」
 「ほら見ろ。股のところがすれて赤くなってる。ヒリヒリする」
 「そんなの直ぐ治るわ。薬付けとくね。だけどその前に舐めとこう」
 「御親切なことですな」
 「そうよ。愛してるんだもの」
 「満里子には皮肉が通じないな」
 「優ちゃんの肌は甘くて美味しい」
 「そんな馬鹿なことがあるか」
 「それで話し合いはどうなったの?」
 「話し合いは決裂した」
 「どういう風に」
 「だから離婚してくれ、離婚しませんという具合に」
 「いきなり離婚してくれって言ったの?」
 「いやまあ、向こうが口を切った」
 「何て?」
 「だから離婚はしません。何があっても死ぬまで離婚しませんって」
 「奥さんがそう言うの?」
 「ああ」
 「他には?」
 「それだけ」
 「それだけ? それで優ちゃんは何て言ったの?」
 「お互いに人生をやりなおした方が賢いし建設的だと言った」
 「そしたら?」
 「離婚について貴方と議論するつもりはありませんって」
 「そう言ったの? 強い人なのねぇ」
 「ああ」

 しかし事実は、優輝が満里子に語って聞かせたのとはまるで違う。泣きつく訳ないさと思っていた妻が泣きついたのである。『お金なんかその女に全部くれてやってもいい。家を売ってそのお金を全部上げればいいじゃないの。ね? もう一度やり直そう。私達貧乏のどん底から始めたんじゃないの。今からもう一度それをやればいいんだわ』と彼女は言ったのである。流れる涙を拭おうともせずにそう言ったのである。優輝は妻に対して既に愛情は無くなっていたと思っていたが、流石にこれには感動した。ぶるぶると本当に体が震えてしまった。もうあと一歩で彼女のもとに戻りそうな気になってしまった。それを思いとどまったのは別にオムツや貞操帯のせいではない。満里子が同じように涙を流す姿を思い浮かべてしまったからである。満里子は妻の凛とした気の強さとは違うが美人でちやほやされながら育ったから我が儘であり、そういう意味の気の強さを持っている。しかし思い通りにならないと子供のように直ぐに泣く。そういう場面を何度も見ているから優輝は思いとどまって帰ってきたのである。それに何と言っても妻より満里子の方が好きだった。


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