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マドンナ・恥辱の再会
【鬼畜 官能小説】

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序章-1

 東京を代表する繁華街・・・。その一角にある雑居ビルの一室で、暴力団員の剛田はタウン情報誌をめくっていた。朝刊と一緒に郵便受けに投げ込まれていたものだ。その手が止まった。
「ん・・・?暁子じゃねえか。間違いない、暁子だ。この町に住んでいたのか」
そこにはヨガのポーズでにっこり微笑む、妙齢の女性が写っていた。
『人物レポート―きらきら人』と題されたそのコーナーは、今地元で輝いている人、頑張っている人を紹介する記事だ。それに、自宅でヨガ教室を開催している暁子が選ばれたというわけだ。
「お互い32か・・・」
剛田の脳裏には、15年前の出来事が昨日のように浮かんでいた。

 母子家庭で育ったオレは、中学卒業と同時に働くはずだった。そこに野球名門校から声が掛かった。入学金・授業料免除、おまけに月2万円の栄養費まで支給されるという。その好条件にオレは飛びついた。
 しかし生活は苦しかった。おふくろはいくつかのパートを掛け持ちし、育ち盛りのオレを養ってくれた。
「スポーツ選手は体が資本。たくさんお食べ」
そんな期待に応えるべく、日夜練習に励んだ。夢はプロ野球選手になって、おふくろに楽をさせてあげることだ。
 二年生からエース番号を背負うことになったオレは、恵まれた体格から投げ下ろす直球と多彩な変化球で三振を取る、本格的なピッチャーに成長していた。甲子園出場はならなかったが、プロのスカウトにも名前を知られるようになり、マスコミも注目しだした。
 練習に明け暮れるオレの唯一の楽しみは、隣接するテニスコートで汗を流す暁子を眺めることだった。日焼けした健康そうな肢体。揺れる乳房。その裸体を想像して、毎日のようにマスターベーションにふけった。その想いは募る一方だった。ある日オレは告白した。
「好きです。お付き合いして下さい」
「ごめんなさい」
みごと轟沈。あっけなかった。走り去る暁子の背中を呆然と見送った。

 その直後、おふくろが死んだ。ガンだった。すでに体中に転移しており、手術は不可能だった。オレのために痛みに耐えて働いていたのだ。プロの雄姿を楽しみにしていたおふくろに、その姿を見せることはできなかった。さすがにその時は泣いた。人目をはばからず大声で泣いたのは、後にも先にもそれ一度きりだった。

 やけになったオレは練習をさぼり、繁華街に繰り出すようになった。喧嘩に明け暮れ、暴走族の抗争に巻き込まれ、鉄パイプで右肩を強打された。そしてプロ野球選手の夢は終わった。
 野球のできない特待生に学校は厳しかった。野球部は除籍となり、自動的に退学となった。
 
 そんな時声を掛けてくれたのが○○組の組長だった。腕っぷしの強さと度胸を買われ、ボディーガードを務めるまでになっていた。それ以来このアウトローの世界で生きていくと心に決めたのだ。
「組長への生贄は暁子で決まりだな」
 剛田はサブローという若い組員を呼んだ。
「この女、拉致ってこい」
「はっ!」
サブローは慇懃に答え、部屋を出ていった。


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