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亜美
【SM 官能小説】

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亜美-42

 レストランは昼時をとっくに過ぎていて、窓際の席に座れた。窓といっても街路に面した側は、灰色ともブルーとも付かない色の全面ガラスとなっている。外を歩いている人の姿が手に取るように見えるから、向こうからもこちらがよく見えるように錯覚してしまうが、店内は少し薄暗いし色付きのガラスだから、
たぶん外から中は見えないのだと思う。そこで誠司は少し亜美にスリルを与えてやろうと思った。
 「体を外に向けて少し脚を開いてくれますか?」
 「え?」
 「折角いやらしい姿をしているのだから、外の人たちに見せてあげようかと思って」
 「まあ。思ったより大胆なのね」
 「そうでもないんですけど、さっきまで僕の性器でふさいでいたところを、見せてやりたくなったんです」
 「こう?」
 「よく見えるように少し裾をまくって」
 「こんな感じ?」
 「いいですね」
 「誰も気が付かないみたいね」
 「そうですね。でもそのままにしていれば、そのうち誰かが気づきますよ」
 「貴方は外でセックスできる?」
 「さあ。やったことはありませんけど、そういうのは苦手ですね」
 「私はやったことあるのよ。というよりもやらされたことがあるの」
 「ほう。普通よりも感じましたか?」
 「ええ。でもその時はバイブを入れて歩いていたから、もう外でやるか中でやるかは関係ないほど高まっていたの」
 「なるほど。誰かに見られましたか?」
 「さあ、どこかで見ている人はいたかもしれないけど、少なくとも私は気づかなかった」
 「人に見られて乱れたいという欲望はありますか?」
 「それはあるわね」
 「最初にお会いしたとき、僕と赤尾さんが取材のためにそばにいましたけど、あれは二人だけでプレイする場合よりも刺激になりましたか?」
 「なったわね、やっぱり」
 「人に見られながらプレイしたのは、あれが最初ですか?」
 「いいえ。何度もあるわ」
 「ところで、そうやって外に向けて脚を開いていると、多少は感じますか?」
 「多少じゃないわ。こっちに、私の隣に移って」
 「はい。何でしょう?」
 「此処を触って」
 「うわ」
 「ね。ビニール越しにでも、濡れてるのが分かるでしょ?」
 「凄いですね」
 「ちょっと指を動かして」
 「こうですか?」
 「あっ」
 「それとも、こんな感じですか?」
 「ああー」
 「貴方は悩ましい顔をすると一層美人になりますね」
 「あ、もう駄目」
 「行くときは行くと言ってください」
 「行く、行く、もう行く」
 「外の人が気づいて見てますよ。ウェイトレスもさっきから見てる」
 「あー」
 亜美は体をブルブルと震わせて行った。右手は誠司の腕を握り、左手は叫び声を防ぐかのように口に当てられていた。絵に描いたように美しい顔をしたこの女性が誠司の手で簡単にオルガズムに達してしまったと思うと、いとおしくてたまらなかった。ビニール越しにクリトリスを撫でている右手はそのまま愛撫を続け、左手で亜美の左手をどけてその口にキスした。薄暗いレストランだけれども、勿論、ウェイトレスからは丸見えである。しかしそんなことはまったく気にならなかった。生まれて初めて人を愛したような衝動で、亜美の舌を吸い続けた。亜美は誠司の右腕をつかんでいた右手で誠司の首を抱き、左手で自分の乳首を愛撫しながら、再び行った。
 喘いでいる亜美に「愛してるよ」と思わず囁いたが、亜美の耳に入ったかどうかは分からない。亜美の性器はドロドロに濁った白い液体で見えなくなっていた。しかしそれはむしろ性器が見えているよりもエロティックだった。
 結局亜美はトイレに行くことも無く、新幹線の京都駅まで誠司を送ってくれた。別れ際に左手を出してと言うので何かと思うと、細い金のブレスレットを2本はめてくれた。ラビアのピアスとして最も長期間愛用したものだそうである。亜美の性器に付けられていたものかと思うと、何か酷く貴重な物のように思えてしまう。



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