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君と僕との狂騒曲
【ショタ 官能小説】

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君と僕との狂騒曲-13


 しかし上手くやったと思っていた「仮面」はとんでもなく恐ろしいストレスを蓄積していたことに、餓鬼の僕は全然気が付いていなかった。

 社会が同性愛者を「ホモ」と呼ぶようになって新しい蔑視の存在を見つけた時、僕はさらに「仮面」をしぶとく、そして分厚くしていった。もっと僕らしく、上手くやって行く敏腕プロデューサーになるよう、僕は多くの知識で固めていった。

 君が欲しかった。一瞬でもいいから、狂おしいほど、君をこの腕に抱きしめたかった。

 でも、「仮面」を覚えた僕は、何もなかったかのように毎日を暮らしていた。君といつもどおり図書館へ行き、中央公園の木陰で並んで本を読んだ。

 君は時折、本を読みながら眠ってしまい、僕の肩に素敵な頭を寄りかける時があった。僕がどんな気持になったのかはわかるよね。僕の仮面は一瞬で砕け散り、いとおしい君をいつまでも感じていた。そんな時君は凄く素敵な服装なんだ、膝の丈のベージュのパンツに、白いテニス・シューズ。膝まで隠しそうなソックス。丈のゆったりしたコンサート・ブラウス。考えてみれば不思議な服装なんだけど、それがしっくりと君に似合っている。今日一日が、もしかしたら明日が、こんな幸せ時間を造って行けたら、どんなに幸せだろうってね。

 僕は「仮面」を用意周到な犯罪者のように、それを上手く隠せたと思う。出来なかったら、とうの昔に僕はこの世に居なかったかも知れない。運が良ければ、同級生の中でひときわ変わり者だった友人のように、与論島の浜辺にいたかも知れないのに。
               *
 中学一年生の最後の冬に、君と僕は銀杏並木を歩いていた。黄色く色づいた銀杏の葉が歩道に散りばめられている。この街はもともと山深い所に計画されて作られたものだから、設計した人はいい仕事をしたと思う。駅前のロータリーには銃を担いだダビデのような青年の像が立っていた。

 僕は濃紺のダッフルコートを着た君と二人で、中央公園に寄り道した。今考えれば、凄く贅沢な公園だった。広大な敷地を囲む針葉樹は団地の4階よりずっと高く、カエデの木は美しく紅葉し、野球のグランドがまるごとふたつ入る多目的広場に、テニスコートや遊具のある公園。巨大な団地の多くの住民を前提にした憩いの緑地だった。

「なあ、マスターベーションしたことある?」僕は君の影に足を踏み込んだ。

 君は僕を見ないで、言い返してきた。

「ケンピはどうなんだよ」

「最初に質問したのは僕だよ」

「あのなあ。英語ではまず私は誰だ、から始まるんだよ」

「HEY,YOU だったら?」

「SIR,だったら考えてもいい」

 文句なしに学校で一番の英語の成績を誇る君に僕が叶うはずはない。君の得意技。まずは自分の土俵に持って行こうとする君の癖だ。

「ああ、僕はしたことがある、なんてもんじゃない。ほとんど毎日やっているよ。さあ、僕は言ったよ。AND YOU?」僕は率直だ。率直は一番過激だ。

 君はふわっと笑って空を見た。嫌になるほど青い空。

「ああ、僕も。毎日って訳じゃないけれど。疲れるから。で、ケンピはどうやってやるの?なんていうか、やり方は?」

 君にしてはかなり大胆な答えだ。僕以外なら絶対にはぐらかすはずだ。優雅にね。

「ううん、手で。表現するのは難しいなあ」

「僕は、うーん。畳かな。」想像するのは難しい。他の誰でもない、君が言うのだから。

「ええ?あ、そうか。感じは分かるな。そっちの方が自然かも」

 君は思い悩むような顔をして、フフっと小さく笑った。君は本当に滅多に笑わないのを知っている僕は驚いた。君はそして気分が悪そうに顔を歪めて言った。

 「あれ、タチが悪いんだ。終わった後にさ、出した後ってことかな。かたづけるのが。ねとねとして、嫌な臭いがするし」

君はわずかに笑った。僕じゃないと分からないぐらいの笑顔。

「生産性ってのがないから」そこまで言うか。

「誰を想像してやるの?マコは」 僕はいつも後のことを考えないタチだ。

 君は瞬時に凄い冷淡な態度に戻った。本当に君は瞬時にマイナス272.7度の液体酸素ぐらいに冷却される。君のポーカーフェイスは有名だけど、僕には君がどういった理由でそんな顔になるのかも知っている。君は小さな声で僕に答えた。

「ああ、あるよ。古幡。なんでか良くわからないんだけど」

 僕はドキリとした。僕は誰より君のことで頭が一杯だったけど、「古幡」は僕にとっても凄く興味があった。特に美人でもなく、身体だってグラマーには程遠い。でも彼女には「何か」を感じさせるものがあり、実際に隠れて惚れ込んでいる連中だっていた。

「いくらでも美人が居るだろうに。マキ、どうかしてる」

「だから言っただろ、わからないんだってば」

 またしても僕らは合わせ鏡のように奇妙なカップルになる。

 君の黒めがちの美しい(他になんていやあいいんだ)瞳が、僕には怖かった。複数の次元で僕が苦しんでいる事が見透かされているような恐怖。誰もが君の影に足を踏み込んだなら、そのぶんだけ足を踏み込まれる。核の抗止力みたいなものと考えていい。でも、相手が僕だからっていうテレパシーが伝わってきたよ。 僕は極めて友好的な中立国家で、たいした兵器がないぶん安心だ。

 ところで僕は君の裸の背中を見ながらだったら、涸れるまでやるんだけどな。
 愛する僕のマキ。


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