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誓いのペンダント
【兄妹相姦 官能小説】

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誓いのペンダント-4

集中、集中。そう思っても、集中出来ない。唯は先生に見つからないように、手鏡を取り出した。もう、腫れは引いたようだ。学校に着いたときは、目が赤く腫れてて、友達に根掘り葉掘り聞かれた。唯は寝不足としか答えなかった。兄妹喧嘩で泣いたなどと、恥ずかしくて言えるはずがない。
「はい、ここ試験に出ますからねー」
 先生がそう言うと、いっせいに印を付ける音が聞こえる。唯ももちろんチェックした。
 学校の勉強は嫌いだった。退屈で役に立たない。それでも、まじめに受けている。学校の勉強は役に立つからやっているのではない。努力の度合いを調べるためにやっているのだ。これは、浩之が言ったことだ。言った本人が勉強してないのは本末転倒だが。
「橋野さん。この問題は?」
 当てられた。簡単な問題だ。だが、得意になって答えない。ちょっと分からないふりをして答える。嫌みな奴と思われたくなかった。
「はい、まあいいでしょう。座っていいですよ」
「はい、すいません」
 あくまで、控えめに。出る杭は打たれる。目立ってはいけない。嫌われるのは恐かった。唯にも、目立ちたい、尊敬されたい、という気持ちはある。だが、襲ってくる不安の方が大きかった。
 チャイムが鳴った。
「はい、今日はここまで」
 授業が終わると、急に教室が騒がしくなった。
「ゆいっち、大丈夫?」
 友達が来てくれた。他にも来てくれる。
「もう、大丈夫だよ−。みんな、心配しすぎ」
 みんな自分を心配してくれている。自慢じゃないが、唯には友達が多い。みんないい人ばっかりだった。
「何かあったら、私に言ってよね。ゆいっちをいじめる奴は、私が許さないんだから」
「うん。ありがとう。頼りにしてるわ」
 恐らく、彼女に相談することはないだろう。唯に友達が多いのは、自分の本音を話さないからだ。本当の唯を知れば、みんな嫌いになるだろう。だから、人には自分の明るい面しか出さない。
 一人。ただ一人、自分の全てを知ってくれればよかった。
「ごめん。ちょっと、気分が悪くなっちゃった。保健室行ってくる。先生に言っておいて」
 浩之のことを思い出した。また、泣きそうになる。みんな心配そうな顔で見ていた。
「大丈夫。一人で行けるから」
 唯はそう言うと、逃げるように教室を出た。人がいないような所を探す。
 自分の本音を語れるのは浩之だけだった。浩之の前でなら、ありのままの自分でいられる。そう思っていた。喧嘩なら今までもやってきた。けど、すぐに仲直りをした。だが、今回は違う。浩之は変わった。浩之は唯をうざったいと言った。今までの浩之なら信じられない言葉だ。
 浩之は自分たちは兄妹だといった。浩之は兄というのにこだわっているのだろうか。頼りになる兄。確かにそうだろう。唯のそばには必ず浩之がいた。浩之にはなんでも話した。浩之の話すと、心がほっとするのだ。唯にとって、浩之は兄以上の存在になっている。だからこそ、兄というのにこだわっている浩之に、歯がゆい気持ちを抱くのだ。
 唯はしゃがみ込むと、ペンダントをとりだす。これをいじるのは癖になっていた。
 浩之が自分のことをどう思っているか。それは、あまり考えたことがなかった。不思議だ。他の人なら嫌われているか神経質なくらい考えるというのに。
 その日、唯は授業には出なかった。すっと、ここでぼんやりしていた。


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