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マリア
【その他 官能小説】

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マリア-7

 「会長はお見えにはなりませんか」
 「ええ。大体1日置きにちょっと顔を出すか電話だけで済ますかという感じで、今日は電話がありましたからもう来ないと思います」
 「そうですか。実は宮内庁お下げ渡しの恩賜の煙草がありまして、会長にお1つ進呈しようと思って持ってきたんですが」
 「ああ、それはどうも有り難うございます」
 「会長はいつも何を吸われているんですか」
 「テンダーという1ミリグラムの極く軽い奴です」
 「そうですかあ。それはいかんなあ」
 「何か?」
 「いや、自分は前にもこれを吸ったことがあるんですが、とてもきついんですわ」
 「そうですか」
 「社長さんはお吸いになります・・・よね。吸ってますね」
 「はい。僕は煙が出れば何でもいいんです」
 「そうですか。それじゃ早速吸ってみませんか?」
 「ほほう。菊の御紋が印刷されているんですね」
 「はい」
 「これ、封を切って宜しいんですか?」
 「ええ、封を切らないと吸えない。ちょっと吸ってみましょう」
 「はあー。確かにきついですねえ、これは」
 「そうなんですわ。何度吸ってもこれはきついなあ」
 「皇族はこれを日常吸っていらっしゃるんでしょうか?」
 「さぁー。これの軽い奴なんじゃ無いでしょうか」
 「それじゃ今度はその軽い奴を頂戴したいですね」
 「それは駄目なんですわ。恩賜の煙草っていうのはきつくないといかんのですな」
 「ほう。どうしてですか」
 「軽いとスパスパ吸う奴が出てきよりますでしょう? そんな失敬なことをしてはいけないっていう訳なんですわな」
 「ああー、なるほどね」
 「良く考えてますわ」
 「はあ。で、やっぱり皇居には良く行かれるんですか?」
 「それはそうです。我々は皇室の藩塀でありますから」
 「はんぺー?」
 「社長さんは皇居には行かれませんか?」
 「はあ、まあ新年にテレビでお参りさせて貰う程度で・・・」
 「そうですか。まあ1度行かれると宜しいと思いますよ」
 「はい。是非ともそうしてみます」
 「この頃ロスケが弱体化しおって我々もやりにくいんですわ」
 「ロスケ?」
 「ロシアですわ」
 「ああ、なるほどそうですね、ソ連が解体しましたね」
 「解体って聞いた時はヤッターと思ったんですが、なんちゅうことは無い、国の数が増えただけなんですわな、これが」
 「まあそうですね。言われてみれば」
 「自分、中学の時社会が苦手でしてソ連の首都はっていう問題で、樺太と答えて偉い恥書いたことがあるんですわ」
 「樺太ですか」
 「ソ連の地名で知っとったのがそれだけだったんです」
 「その頃から北方領土に関心があった訳なんですね」
 「まあそういう訳なんですな。それでソ連が解体して国が増えましたやろ、憶えにゃあかん首都が途端にガクッと増えた訳で、これは自分の中学時代で無くて良かったぁと思いましたわ」
 「あ、なる程そうですね。ベラルーシの首都はなんて言われても分かりませんものね」
 「ベラルーシーっていうのも新しく出来た国なんですか?」
 「さあ、地名だったかな。ちょっと改めて聞かれると、僕も良く分かりませんね」
 「偉い迷惑なことしよりますな。やっぱり共産主義っちゅうのはロクなことせん」
 「本当ですね。大体発音しにくい地名というのは場所も何処なのか分かりませんですね」
 「そうそう。まあ、発音し易くても分からんのだけど」
 「そうですね」
 「これでも我々ロシアのことは勉強しとるんですけど、人の名前でも地名でも憶えにくくていかんですなあ」
 「そうですね。馴染みが無いし、長い名前が多いし」
 「本当ですわ。えーと」
 と言いながら男は胸ポケットからメモ帳を取り出した。



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