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恋のMEMORY
【少年/少女 恋愛小説】

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四度目の恋-4

オレンジ色に染まった夕焼け空が誰に構わず全て人にその姿を現す。

「いやぁー得したわぁー♪卵と牛乳お一人様に付き78円って安い!」
「……。」

上機嫌で買い物袋を首元まであげる彼女。

一体俺は何がしたいのだろうか。今横で肩を並べ共に帰宅する彼女とはもう会えないんだぞ?ようやく彼女への本当の気持ちに気づけたというのにその矢先遠くへ行ってしまい、俺の恋はおしまいと諦めていたのに。

断ったら彼女に失礼だ、それにここで妙に避けたら変に勘づかれる。…何てまた都合の良い言い訳を。

「♪」

そんな俺の気持ちもつゆ知らず、今にも鼻歌でも歌いそうなくらい機嫌の良い彼女。

「シロクマさん、可愛かったねぇー。」
「あぁ、写真も一杯撮ったし、来年も来ようなっ!」
「うん、楽しみ♪」

動物園帰りの親子連れがそんな楽しそうな会話を弾ませる。

「動物園かぁー。」
「ん?」

ポツリとそう呟く水原さん。

「この前テレビでやってたんだよねー、猿山とか鹿同士の戦いとか。」
「あー俺も少し観たなぁー。」

ここまで来ると平常心を保つ事にした。そう、今まで通り…。

「一緒に観てた祖母がね、たまには羽伸ばしてきたら?って言うの。」
「いつも買い物に家の事、それに俺の事までやってくれてるもんな。」
「私も観てて楽しそう、行ってみたいけど…、少し迷ってるんだ。」
「家事で忙しいから?」
「それは別に問題ないよ、確かに祖母は持病があって家事もあまり出来ないし、一人にしておくのは不安だけど、だからって常に家に居なきゃいけない程問題な訳じゃないし。」

水原さん…。

「……なーんて!何つまんない事言ってるんだろ私!じゃそろそろ夕飯時だし、少し急ごっか!?」
「あぁ……。」
「佐伯君?」

何気なく俺は彼女の買い物袋を持ってあげる。

「牛乳パック二つは少し重たいだろ?着くまで持ってる。」
「そんな、悪いよ付き合わせたうえに…。」
「平気平気、俺何てなーんも買ってないし、このくらいの事はさせて。」
「……あ、ありがとう。」



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