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恋のMEMORY
【少年/少女 恋愛小説】

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四度目の恋-3

このままでいい…。

俺は恋何てしていない、彼女とは最初から隣人同士だ、ただの…。

アイツに決意表明した事も取り消しだ。

卑怯?先ほどまであれだけの決意で駆け寄ろうとしていたのに、その彼女が遠くへ行ってもう二度と会えないと知った途端急に手に平返して諦めるのか、と…。

だって仕方がないだろ?嘗て俺がこの北海道から兄夫婦のいる青森に住んでいた頃、あの時まだ俺を好きでいてくれた早乙女先輩が高い交通費と長い時間をさいてまで何度も来てくれたのだってギリギリきつかったと言うのに、それが埼玉って、あまりにも遠すぎる。

メールや電話をすればいい、そしてたまに会いに行けばいい…。そんな簡単に割り切れるもんでもない。

何なんだよ、もう…。

折角自分の本当の気持ちに気づいたというのに!……違うか、俺が悪いんだ、俺が折角水原さんという人と出会えたというのに、いつまでももたもたもたもたと自分に恋する資格何てない、そう言い聞かせてしまったから。

もう手遅れなんだ。神様が最後に与えてくれたチャンスを、俺は逃した、グズグズしていたから痺れを切らして怒り呆れて。

風馬に何て言い訳しよう。

埼玉に、遠くに行くみたいだから俺やっぱ恋なんてしないわー。

……優しいアイツならまず怒りはしないだろう、呆れもしない、どう歩もうが俺の道を支持する、そう言ってくれた訳だし。

そう、断念する意向で気持ちが傾いていると。

「あっ!お帰りなさい。」
「っ!……あっ、あぁーただいま。」

妙子さんとの談笑を終えた彼女はふと俺の存在に気づき声を掛け近寄って来た。

その顔に遠くへ行く寂しさは微塵にも感じられない。

「居たんだったら声掛けてくれれば良かったのにー。」
「いやまぁー、話し中だったみたいだったし。」

彼女をただの隣人としてではなく、恋愛対象と想ってから妙にアタフタする。

「あっはは♪流石!なーんか大人だね。」
「いやいや!そんな事はっ!」

しっかりしろ俺!そんなんじゃ彼女も離れづらいだろ。

「この後ちょっとスーパー行くんだけど、良かったら付き合ってくれる?」
「え……あぁ。」
「ありがとうっ!」

純粋無垢な笑みを浮かべる水原さん。

何してんだろ、俺。



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