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良助
【青春 恋愛小説】

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1 裕子-23

 「あの子はあんまり顔に拘らないみたい」
 「良かったね、裕子」
 「どうせ私はブスです」
 「そんなこと無い。私には美人に見える」
 「あら、有り難うございます」
 「やっぱり小山家の美的センスは独特なんだ」
 「あ、又粕谷君が来た」
 「又?」
 「しつこいからどうせ後で2人になるんでしょって振り切って来たんだけど」
 「やあ、お姉さん。お久しぶりです」
 「先週会ってる」
 「あ、そうですね。1週間のご無沙汰です」
 「テレビ番組の司会じゃないんだよ」
 「え? まあまあ。小山は?」
 「田宮さん探しに行った」
 「木原に田宮か。お姉さんひとりで十分だっていうのに何であいつの所には美人が集まるんだ?」
 「小山君は顔に拘らないからだよ」
 「顔に拘らないと美人が寄ってくるのか」
 「粕谷君は拘りすぎなの。こういう顔と付き合ってごらん」
 「室野と付き合うなら大和田の方がなんぼかマシだ」
 「あらっ」
 「まあ」
 「オートバイに乗って来たんですか?」
 「そう」
 「格好いいですね。その格好で髪を靡かせて走るんですか」
 「髪は靡かせない」
 「え?」
 「丸めてヘルメット被るから」
 「あ、そうか」
 「なんかお姉さんの喋り方って小山君に似ているね」
 「そうだね」
 「それはそうよ。姉弟だもの」
 「裕子んとこも似てる?」
 「そうね、やっぱり人が聞いたらそう思うんでしょうね」
 「大和田さんの喋り方はうちの母さんにちょっと似てる」
 「やっぱり」
 「そうですかぁ」
 「うん」
 「おっ、田宮が来た」
 「あっ、田宮さん、待ってたのよ」
 「うん、お姉さんが来てるの知らなかった。さっき教えてくれれば良かったのに」
 「そうね、ご免ね。私紹介もされずに突然お姉さんに話しかけられたばかりだったので慌てていたのね」
 「初めまして、田宮順子です」
 「小山恵子です」
 「恵子さんとおっしゃるんですか」
 「どうだ、美人だろ」
 「粕谷君のお姉さんじゃないよ」
 「俺の友達の姉さんだ」
 「そんなこと分かってるよ。私の友達の姉さんでもあるよ」
 「お前いつから良介の友達になったんだ」
 「前から」
 「喧嘩してばっかりいるじゃないか」
 「仲がいいから喧嘩するんだよ」
 「そうとは限らない」
 「昨日一緒にラーメン食べた仲なんだよ」
 「お前が?」
 「そう」
 「小山と?」
 「そうだよ」
 「本当か? 信じられん」
 「本当だよね?」
 「うん」
 「木原も一緒?」
 「そうよ、裕子も」
 「あ、なんだ。それなら分かる」
 「分かるでしょ」
 「良介はだいぶ大和田さんに依存しているみたいね」
 「イゾン?」
 「くだいて言うと、甘えている」
 「あ、そうか」
 「そんなことありません」
 「そんなことあります」


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