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悦子
【SM 官能小説】

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悦子-24

 「どうした?」
 「はい?」
 「あの下着は勝手に外してしまったのか」
 「いいえ、外してはおりません」
 「白い服だと透けそうな気がするんじゃなかったのか?」
 「はい。何度も何度も鏡で確認してから出て参りました」
 「それなら白でない服にすれば良かったのに」
 「私、黒い服は少し持っているのですけれども、後は全部白い服ばかりなのです」
 「ほう。白が好きなのか」
 「お爺様がお好きなのです。私には白い服が1番似合うからと仰って白い服ばかり買って下さるのです」
 「ほう。僕の好みでは無いが、君の着ている物は高そうな服ばかりじゃないか」
 「お爺様が買って下さるので値段は存じません」
 「金のある爺さんなんだな。君はお爺ちゃん子なのか?」
 「そうですね」
 「どれ、外してやるから服を脱ぎなさい」
 「恥ずかしいからカーテンを引いて下さい」
 「此処は10階だから窓の外は空があるばかりで、何処からも覗かれたりはしないさ」
 「分かっています。明るいからお頼みしているのです」
 「それではカーテンを引いて暗くしたのと同じ状態にしてやろう」
 「目を瞑れと仰るのでしょう?」
 「良く知ってるな」
 「昨日と同じお言葉ですもの」
 「そうだったか」
 「でも先生らしい」
 「何で?」
 「言葉に敏感な方は同じ言葉を多用する趣があるのだそうです」
 「ほう。それは知らなかった。うーん、明るい陽光の中で見る君の素っ裸は実にいいな」
 「恥ずかしい」
 「厭らしい奇妙な物が股間に埋まっているというのがそれに輪を掛けていい。こういうのを画竜点睛と言うんだろうな」
 「早く外して下さい」
 「慌てるな」
 「何をなさっているのですか?」
 「眼と鼻で観察しているんだ。激しい匂いがするだろうと思っていたんだが、匂いは無いな」
 「家を出る時に洗ってまいりましたから」
 「何? それはいかんなあ。そういう無粋なことをしてはいかんなあ。ちょっと、このベルトが湿っているのはその為なのか」
 「はい。それもスカートが染みにならないだろうかと気になって心が乱されました」
 「ふん。そういうことなら色落ちする素材の物を選んでやれば良かった。ところで、感じたか?」
 「感じました」
 「どんな感じだった」
 「気持ち悪い感じでした」
 「気持ち悪いということは無いだろう」
 「無いだろうと仰ってもそんな感じでした。気持ち悪くて昨夜は寝られませんでした」
 「気持ち悪くてではなくて、気持ちが良すぎての間違いだろう」
 「・・・」
 「黙っていては分からないじゃないか。気持ちが良かったんだろう?」
 「それではそういうことにしておきます」
 「馬鹿。正直な感想を聞いているんだ」
 「ですから気持ち悪い感じが致しました」
 「気持ち悪いの中身をもう少し分析して言えないのか。例えばワサワサするような感じとか、ゾクゾク鳥肌立つような感じだとか」
 「そういう感じでした」
 「そういうとは?」
 「寒気がして鳥肌が立つような、そんな感じです」
 「そうか。それは気持ち悪いんではなくて、感じてたということなんだ。気持ちいいと気持ち悪いは相反した逆の感覚のようでいてそうでは無いんだな。例えば、氷を肌につけると冷たい筈なのに熱いと感じたりしてしまう。それと同じなんだよ」
 「そうなのですか?」
 「ああそうだ。だから君は気持ち良くてゾクゾク鳥肌が立ったんだ」


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